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クリストフ・ウロダロチェク対ラキーム・チャキエフ(2013/06/21)

2013-06-22 21:04:50 | ボクシング

WBCクルーザー級タイトルマッチ

ポーランド人のWBC王者クリストフ・ウロダロチェク選手(Krzysztof Wlodarczyk)が北京五輪金メダリストのロシア人ラキーム・チャキエフ選手(Rakhim Chakhkiev)の挑戦を受けた一戦は挑戦者の地元ロシア・モスクワで行われ、ウロダロチェク選手が逆転の8回TKOで勝利してタイトル5度目の防衛に成功しています。

地元の歓声を背にサウスポースタイルのチャキエフ選手がスタートから積極的に仕掛けます。左ストレート・フックや右フックでの飛び込みから上下への力強い左右フック連打で王者に迫ります。トリッキーな動きも交えながら出るチャキエフ選手の思い切りの良い攻めに王者は初回から右まぶたをカットしてしまいます。
ウロダロチェク選手もガードをしっかりと固めながら被弾を最小限に抑え、初回から右ストレートや左フックを的確に当てる場面も見せていたのですが挑戦者の攻撃の勢いに押し込まれてしまう流れ。3回には近距離から当てた右フックで王者がノックダウンを喫してしまいます。
それでも相変わらず王者の地味に正確なショットが少ないながらも入り続けていて、4回にウロダロチェク選手が右アッパー、右フックを当ててチャキエフ選手の前進が止まる、なんて場面もあって試合の流れが変わるかとも思えたのですが、最終的にはチェキエフ選手の精力的なアタックが常に上回るラウンドが続いていきます。そして6回に挑戦者が思い切り踏み込んで叩き込んだ左アッパーのボディブローでウロダロチェク選手が背中を丸めてしまった場面で、ウロダロチェク選手に見えていた逆転の可能性は挑戦者のアタック・勢いに飲み込まれてしまった、と誰もが思ったはずでした。

しかし序盤から入っていたウロダロチェク選手の右ストレートやアッパー、左フックが思った以上にチェキエフ選手の身体にダメージを刻みつけていたということなのでしょうか。この6ラウンドにウロダロチェク選手の左フックを浴びてチャキエフ選手がダウンを喫してしまいます。クリンチ際でちょっと気を抜いたように見えた場面で密着状態から打ち抜かれた王者の左フックでした。すぐにラウンド終了のゴングが鳴り1分間の休息を得たチャキエフ選手は続く7回も積極的に出て有効な攻撃も決め優位にラウンドを進めるのですが、この回の終了間際にも右フック→左フックでダウンを奪われてしまいます。
完全に自信と確信を得たウロダロチェク選手に対してダメージと疲労で一気に追い詰められたチャキエフ選手。8回は王者が相手の攻撃を余裕を持って受け止めながら右フックを狙い打ちします。右を食って一瞬糸が切れたような動きを見せかけながらもそれでも踏ん張って決死の攻撃を繰り出していった挑戦者の根性は見事なものでしたが、既に限界。このラウンドに2度のダウンを追加されてストップされています。

チャキエフ選手が地元ということもあったのでしょう。最後の本当に必死に戦おうとしていた姿は強く訴えかけるものがありました。8回の最初のダウンでほとんど力尽きたように見えたのですが、チャキエフ選手の根性で試合再開が認められたシーンでした。しかしそのことで直後に訪れたフィニッシュシーンの壮絶さがより際立ってしまいました。

敵地で元金メダリストを強烈に沈める見事な勝利を上げたウロダロチェク選手は48勝(34KO)2敗1分。チェキエフ選手は16勝(12KO)1敗。

Wlodarczyk Shows True Grit in Winning Chakhkiev Thriller(Alexey Sukachev/BoxingScene)




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4 コメント

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残念でしたが・・・ (つながり眉毛のチャキエフ)
2013-06-23 00:01:59
一番期待していた選手だっただけにとてもショックでした。
試合中は胃が痛くなり、試合後は落胆しました。
しかし、試合を振り返ってみると一進一退の展開が続くスリリングなとてもいい試合でしたね。
序盤のチャキエフの怒涛の攻め、中盤以降のウロダロチェクの反撃、そして逆転KO・・・と
そして何より特筆すべきはウロダロチェクの底力のすごさでしょう
序盤は防御を固めて見ていく作戦だったのでしょうが、1Rで出血してダウンまで奪われ、圧倒的な不利な状況からクリンチを強引に振りほどいてのフックでダウンを奪い返し、ボディを効かされながらも反撃して見事に逆転KO。
的確な作戦、高度な技術、ピンチに耐える精神力、すべてが素晴らしかったです。
チャキエフは頭はよく振れてたけど、パンチに的確さを欠いてスタミナを消費してしまった気がします。
ガードの隙間を打つ、コンビネーションで開ける、カウンターを取るなどの技術がもう少しあれば勝てたかもしれないな、と思いました。
結果は残念でしたが試合後に二人が健闘を称えあってるのを見て少し救われました。
チャキエフにはパンチを当てる技術やスタミナを強化してもらって、また世界タイトルに再挑戦して欲しいです。
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Unknown (nmn)
2013-06-23 00:29:34
チャキエフは気負いがあったのか
とにかく序盤から力が入りすぎてて
これはガス欠するな、と思ってたら案の定でした
もっと冷静にいけば違う結果になったかも・・・

しかし負けとはいえ、実力が素晴らしいことはよく分かりました
くじけず再起してほしいですね
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Unknown (たこぼうず)
2013-06-23 14:01:40
今回チャキエフの試合初めて観ました。
この人のスタイルなのかもしれませんが、前半から飛ばしすぎた印象。
4Rか5Rあたりから動きが遅くなり、集中力も切れてきたように見えました。
スタミナが切れただけに見えたのですが、ダメージもあったんですかね?
ファイトスタイル自体は非常に魅力的なのですが、今回の試合に関しては裏目に出たというか、もろにプロでのキャリアの差がでてしまったと感じました。
チャキエフのことばかり書きましたが、単純にウロダルチクの冷静さや頑張りを讃えるべきかもしれないですね。
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Unknown (管理人)
2013-06-23 14:27:38
>つながり眉毛のチャキエフさん
試合内容はおっしゃる通り非常に面白いもので、私もかなり白熱しながら見ていました。
パンチの正確性が足りない、ってのは前に見た時にも感じたことですが、そのことがスタミナロスを余計に招いてしまった自滅気味の敗戦にも見えました。
まぁまだまだ巻き返しは可能なはずですし、この敗戦を今後に生かせばいいんだと思います。

>nmnさん
入れ込みすぎ、ってのは確かにありましたね。
地元での世界初挑戦で気合を入れるなってのは無理な話なんでしょうけれど。

>たこぼうずさん
序盤から入っていた右が結構地味に強かったように私には見えました。
そして記事にも書いた4回の右アッパーそこからちょっと間をおいて食った右フック、この2発は確実に効いたパンチに見えました。
その後うまくごまかしてはいましたけれど。
と、書いて今ちょっと見なおしてみましたがそんなに効いてなかったかもですね。4ラウンド残り40秒~30秒ごろのパンチです。
最初に見ていたときはちょっとびっくりしたパンチでしたしその後のチャキエフの動きが鈍ったように見えました。
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