感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

RS3PE症候群とエコー所見

2014-05-28 | 免疫

前回の続き。
当科では指痛などの診療に外来エコーを利用していますが、RS3PEの診断を裏付けるエコー所見はどんなものか調べてみました。腱鞘炎がメインであるが関節滑膜炎所見もみられること、圧痕性浮腫はエコーでリンパ管拡張所見をみること、エコーよりはMRIのほうが鋭敏であること、などが大事。



まとめ

・RS3PEの決定および臨床所見との間に診断のギャップは、最終的な診断を確立するためにイメージングが必要がある。

・McCartyらは疾患の初期説明にRS3PEにおける手の屈筋腱の優勢な関与を報告していた。
・しかしCantiniら [3]磁気共鳴イメージング( MRI )上で証明されるようにRS3PE症候群における伸筋腱の優勢な関与を報告した
・磁気共鳴イメージング( MRI)によって明らかにされるRS3PEの解剖学的決定因子は、主に伸筋腱鞘炎である
・患者における指の可動性障害は、PIP関節液と広範な皮下肥厚によるもの、および腱鞘における滑膜組織の増殖による。

・USGにてみられる正常腱構造は、均一の厚さ、均一な繊維状エコー構造、をもち、腱周囲paratendonは皮下脂肪と連続し区別されない高エコー組織として表示される。滑膜層は滑膜鞘の二層間で関節液の薄膜により、腱の前面と後面に薄い低エコー縁として表示される。
・炎症を起こした腱は、腱の周りのびまん性の円周性の低エコー輝度を伴い、肥厚した不均一なエコー性の影として表示される。
・腱を取り巻く無エコーまたは低エコー液体が存在する場合に腱鞘炎が記録される。

・Kawashiriらの症例報告、GA- 67シンチ検査では四肢関節に対称的に複数の集積、ダイナミックMRI検査では、手、MCP関節とPIP関節の滑膜炎、および両側手の伸筋と屈筋腱炎を検出、手と足のUSG検査は、滑膜炎および手背足背部の皮下浮腫を検出
・Agarwalらの10人のRS3PE患者でのUS研究。手関節や中手骨頭の伸筋と屈筋腱腱鞘炎は、手の浮腫のある患者全員にみられた。7例では伸筋腱腱鞘炎は屈筋腱に比べてより顕著であった。長指伸筋(EDL)腱の腱鞘炎は6例で検出された。 プレドニゾロン開始6週ですべての症例でのフォローアップ超音波は、腱周囲の浮腫の著しい減少を明らかにした。
・これは、 USGがRS3PE症候群患者における腱鞘炎の評価と診断ツールとしてだけでなく、フォローアップに有用であると思われる。

・Klauserらの8人のRS3PE患者の手の診断にて、グレースケール超音波(US)、カラードップラー超音波(CDU)、造影CDU、磁気共鳴イメージング(MRI) の診断価値の研究。 すべての患者はUSとMRI検査の両方で、対称性皮下浮腫と腱や指の関節滑膜炎を示した。血管分布vascularityは、CDUとMRIにて腱鞘内と関節滑液にて皮下に検出された。
・US検査では圧痕性浮腫は、皮下にリンパ管性と解釈される低エコー性の拡張性管状構造を示した。
・Chersevaniらによって記載されたように結合組織隔壁connective septaを示す高エコーバンドが皮下組織に描写された。
・RS3PEの患者では腱鞘の炎症より関節滑膜炎はより少ない頻度で、低エコー関節肥厚は全体の~50%のみで見つかっただけ
・CDU検査では10の伸筋腱と5の屈筋腱でのみ陽性であったのに対し、造影CDUとMRIの両方では腱鞘内の滑膜増殖は23の伸筋腱や12の屈筋腱で描出できた。



参考文献

Rheumatol Int. 2010 Nov;30(12):1677-80.

Clin Rheumatol. 2005 Sep;24(5):476-9.

Arthritis Rheum. 2005 Apr 15;53(2):226-33.


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