がんばれ、俺！

未明から降り出した雨も、すっかりと明けた夜とともに上がっていた。

雨上がりの空気を大げさに吸って歩を進めていく。

名前のわからない鳥が低く飛んで行ったのが見えた。



何の道徳に基づいているのかわからないけれど、

ラジオは今日も新型コロナの感染者数を数えることから始まる。

ワクチンは重篤化する人を減らすために打つことを推奨されている、ことになっている。

感染者を減らすことが主目的ではないことになる。




昨年と変わらず人流が感染の直接原因である、ということになっている。

しかし、そうは言い切れないことが透けて見えているから、比較的湿度の高い季節を迎えて人々の行動に変化が表れている。

それでもまだ発症していなくても感染者数が増えると大変なことになる、ということになっている。




建て前を変えるには、科学的エビデンスというものが必要らしい。

偉い人たちの本音は、隠されているんだから見えない、ことになっているらしい。

どちらも興行的に成り立たせるためのショーではない、ことになっているらしい。




風の強い朝になった。

不純物も飛ばされて、いつもより心地よさを感じている。

もう一度深呼吸をしてみる。経済活動はもう始動している。