いつも だれかが
あなたを 待っていてくれた
幸福の 日々は
ある日突然 藁の家のように
ばらばらにくずれていくのです
顔が 変わってゆく
体が 縮んでゆく
もはやあなたは昔のあなたではない
だれもせめることはできない
他人から盗んだ偽物の美で
愛を裏切っていたのは
あなた自身だったのですから
だれもせめることはできない
ひとりで
自分の行くべき道を行きなさい
衝撃は
あなたの心臓に鎖を巻くように
重たく心をふさぐが
絶望の叫びをあげる前に
宿命の鍵が
あなたの真の故郷への扉を開き
それはあなたを吸い込んでしまうでしょう
すべては あなた自身が
嘘だったからです
裏切り者は野辺に行け
あなたはその入り口をくぐる時
かすかな蝶の声を聞くでしょう
人生は ただではないのですよ
あなたは 自分の力では
とても払いきれない
豊かな人生を盗んでいたのです
だが全てはもう終わりです
あなたは本当のあなたに帰る
どんなに貧しくとも 苦しくとも
生きていけるものは生きていきなさい
この先どんなことがあっても
誰も責めてはなりません
なぜならあなた自身が
まるごと間違っていたからです
静かに 耳を澄まして聞きなさい
大声を出して地球を驚かせてはいけません
青いバロックを吐き出す貝のように
静かに語るわたしの話を
唇を硬く閉じて心で聞きなさい
涙だけはしゃべってもかまいません
虚偽を積み重ねて作った
あなたの幸福の家は
エデンからふたりを追放する天使のように
あなたを追い出すでしょう
魚の声のような
終了のベルを長く鳴らして
終劇の幕はゆっくりと下りてくるでしょう
そして
にんげんの みらいは
あなたがたが全く思いもよらなかった
不思議な方向に流れてゆくでしょう