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月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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プルケリマ・15

2015-10-11 04:07:42 | 詩集・瑠璃の籠

かげろうの死のような
軽やかにも静かな死が
海の波のように
町に押し寄せる

時間の中に隠れた
真珠のような白蟻が
町の中に在った
見えない銀色の炎を
食い尽くしてゆく

何があった
どうしてこうなった
まだわからないのか
それは おまえたちが
神に泥を投げて追い払い
自分勝手にすべてを造った
幻の町だったからだ

愛する人が欲しかった
愛して欲しかった
すべてはそのためにやった
それならば
正直に愛していると言えばいいものを
傷つくことを恐れて
おまえは愛する人を地獄に突き落とし
みなで食べられる肉にしたのだ

復讐が怖くて
ずっと逃げてきた罪の影が
町の上を大鮫になって泳いでいる
見つかればひとたまりもない
おまえたちは影の奥で一塊になり
大勢という化け物になって
信じられない馬鹿をやった

悪いことばかりを大勢で好きなようにやって
無理やり自分が正しいことにすれば
永遠に自分の罪から逃げられる
馬鹿がそう叫んでやったすべてのことが
今法則上の復讐となって
おまえたちに向かってくる

もうどうしようもない
助けてくれる者はいない
ぜんぶおまえたちが殺してしまった
神さえも裏切ったお前たちを
助けるために動いてくれる者は
いない

現実は甘くはない
どんなことをしても
愛してくれると思っていた
愛がみな背を向けて
おまえたちを見捨てていく

かげろうの死のような
微かに青い死が
生きているおまえたちを
静かに青く染めてゆく
そうして おまえたちは
いつのまにか自分が
幻影の快楽の中で
生きながら死んでいることに
やっと気づくのだ




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