紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ついに登場!ゴールデン・サークルのオーネット・コールマンvol.1&vol.2

2007-12-30 01:14:39 | ジャズ・アルト・サックス
先日から、私のブログ記事の内容につきまして、少しばかり変化がございました。
かなり…と言うか、個人的には、実は多くの方にお奨めしたくは無かった、所謂「フリー・ジャズ」の世界に大きく足を踏み出しまして、聴き易いアルバムをメインに紹介していたブログ記事の内容から、逸脱しまして、かなりマニアックに…そしてアヴァンギャルドな世界に入って来てしまいました。
勿論、ずぅっ~とこの世界に留まるつもりは有りませんが、一ヶ月前とはかなり異なる音楽世界、アルバムの紹介も今後は多くなる事と思います。
閲覧されておられる方々で、私が紹介する(した)メロディアスな音楽が好きな方々には、少しの間、ご迷惑をかけるかも知れませんがお許し下さい。

さて、その様な状況下で、今日は先日このブログを良く閲覧されている方が、ご自身のブログで紹介されていた、「オーネット・コールマン」の最高傑作であろう、「ゴールデン・サークル」での2枚組みアルバムを紹介させて頂きます。
実は、「コールマン」につきましては、先日のアルバムから2連荘になるかと思いますが、彼にはクラシックの素養があり、フリーと言っても、決して五月蝿い演奏、聴き辛い音楽では有りません。
静寂とカオスが微妙に同調した、過激で有りつつも、かなり高尚な音楽とも言えるんです。

ですから、今夜は「コールマン」の過激で且つとても美しい世界にトリップして頂ければ、幸いです。

アルバムタイトル…ゴールデン・サークルのオーネット・コールマンvol.1&vol.2

パーソネル…リーダー;オーネット・コールマン(as、vl、tp)
      デヴィッド・アイゼンソン(b)
      チャールス・モフェット(ds)

曲目
   vol.1…1.フェイシズ・アンド・プレイシズ、2.ヨーロピアン・エコーズ、3.ディー・ディー、4.ドーン

   vol.2…1.スノーフレイクス・アンド・サンシャイン、2.モーニング・ソング、3.ザ・リドル、4.アンティーク

1965年12月3、4日 録音

原盤…BLUE NOTE 84224、84225  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-4224、TOCJ-4225

演奏について…まずは、vol.1から行きましょう。
1曲目「フェイシズ・アンド・プレイシズ」…アナウンサーによって、「コールマン・トリオ」が紹介されて、その後「コールマン」はスタートから、「コールマン」節全開で、全力疾走を始める。
前回の「ジャズ来るべき…」での「ヘイデン」、「ヒギンス」の最強バック、リズム・セクションは、「素晴らしい」の一言で片付けられるぐらい、まじで「素晴らしい」のだが、このアルバムを司る、ユーロ系ミュージシャンの、ベース「アイゼンソン」と、ドラムス「モフェット」の二人のリズム陣も、かなりの高水準のテクニシャンであり、勿論、テクだけでなく、スピリットも「コールマン」の意図を理解して、見事なサポート演奏をなしている。
とにかく、圧倒的なドライヴィング力で、「コールマン」の疾走に併走して、逆に「コールマン」でさえ煽り返しているんです。
この一曲目…「コールマン」がぶいぶい言わせて、二人が走り捲る…例えて言うなら、「コールマン」が元F1ドライバーのチャンピオン、皇帝「シューマッハ」だとするならば、彼等二人が「フェラーリ」と言う事になるでしょう。
「コールマン」の高速コーナリングのドライビングに忠実に手足となって、疾走するF1マシーンのそれなのです。

2曲目「ヨーロピアン・エコーズ」…バッハのフーガ的な、音階をグラデュエーションで展開して行く、古典的な手法ですが、「コールマン」が演ると、古新しいから不思議ですね。
非常にメロディアスで、とても心地良い演奏です。
その後、ベースとドラムスのデュオ演奏で、タイトでアナーキーな無音階のバトルがなされ、しばらくして「コールマン」がまた、グラデュエーション演奏で復活してフィニッシュします。
フリーと言いながら、良く考えられた演奏ですね。

3曲目「ディー・ディー」…この曲は「ロリンズ」のカリプソ?それとも「ナベサダ」のブラジリアン・ミュージック?って思うぐらい、テーマ曲、序奏が、ラテン・フレイヴァーの強いメロディで、陽気な演奏なんです。
でも…リズム自体は全くラテンでは演っていない。
リズムはとても乾いた、8ビートでシンプルに…タイトに…静けさを保って、しかし激しく…これが基本線ですね。
「コールマン」は、とにかく自由に…でも歌謡的で、メロディックなんですよ。
この演り方自体が「フリー」と言う考えなんでしょうね。
演奏内容は、本当にフリーには思えない。
とてもメロディックで、美しいんですよ。
私的には、フリー・ジャズが毛嫌いな方でも、この曲・演奏は、守備範囲内で、アイムOK!って言える演奏だと思います。
是非、聴いて欲しい1曲です。

それから4曲目「ドーン」…この曲も親しめる1曲です。
「アイゼンソン」のドシーンとして、まるで地響きの様なベースに、「モフェット」は、シンバル・メインの静かなサポートによって、「コールマン」が、フリー系のララバイ(子守唄)を歌う様に、サックスを奏でる。
中間では「アイゼンソン」が弓弾きで、彩を副えて、決して聴き易いメロディでは無いんですが、まぁ、妖怪が出てきそうな、おどろおどろしさも有るんですが、非常に静寂の間を意識した、音作り…演奏がされています。
この怖くて、でも美しい、ちょっと物悲しいアドリブ・メロディに、聴いていると思わずはまっちゃう。
「コールマン」って、とても罪深いお人だわ!
でも許しちゃう。

vol.2…これは、さすがに明日にしましょうか?