紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

先日の続き…ジャズ来るべきもの~オーネット・コールマン

2007-12-29 23:48:38 | ジャズ・アルト・サックス
昨日の続きです。

「オーネット・コールマン」の「ジャズ来るべきもの」から、4曲目「フォーカス・オン・サニティ」から再解説していきましょう。

いきなり妖しげなユニゾンが有ったかと思うと、沈黙に程近いベースのピアニシモが数十秒続く。
この意図は、「コールマン」の指示なのか?それとも天才「ヘイデン」が自発的に演っているのか?
しかし非常に効果が有ると思う。
この後の「コールマン」のシャウト、ブロウを際立たせるのに、必要充分な効果を上げているんです。
この後、「チェリー」が、知的で魅惑的なフレーズを多発し、曲を分析的に抉り取ってくる。
それから「ヒギンズ」のドラム・ソロである。
ガツンとくるパワフルなソロでは無いが、タイトで筋肉質の見栄え良いソロです。

5曲目「コンジニアリティ」…この曲も「ヘイデン」の野太いベースに駆られて、「コールマン」がかなりラテンチックでメロディアスなアドリブフレーズを吹く。
途中なんかは、「チャイコフスキー」のピアノ・コンチェルトもどきのフレーズだったり、物が終わった時ラッパで奏でる曲、「パッパララーのパッパ」???
言葉で書くと分かり辛いなぁのフレーズまで吹いちゃって…この、おっさんユーモア有りすぎ…って思っちゃいますよ。
続く「チェリー」のソロは生真面目そのもの…この辺の余裕は、やはり「コールマン」の勝ちでしょうね。

6曲目「クロノロジー」では、「チェリー」がブリリアントだが、相変わらず分析的な学者肌のアドリブソロを吹いてくれる。
「チェリー」は、フリー系を代表するトランペッター(コルネット)奏者だけれども、決してメチャクチャな吹き方をせず、音階の和声を超えつつも、とても思索された、好ましいフレーズや音調を奏でる男なんです。
「チェリー」と比較すると、同じくフリー系のアーティストの中では、かなり学者的な「コールマン」でさえ、相当フリーキーな演奏に聴こえるから不思議です。
「チェリー」…何とも一筋縄では行かない、アーティストですね。

7曲目はボーナス・トラックの「モンク・アンド・ザ・ナン」ですが、ここでは「コールマン」が、「ヘイデン」と「ヒギンズ」の重厚なバックでサポートを受けて、自由奔放にフレーズを放つ。
「チェリー」も相変わらず、煌くフレーズのソロを放ち、この曲がオリジナル・アルバムから省かれたのが、信じられないくらいに良い演奏になっています。

ラストもCD用のボーナス・トラックなんですが…この演奏は驚愕です。
もしかしたら、このアルバム随一の名演奏かも…。。。
何故なら、この曲…バラードなんですよ!!
でも、そこいらに有る、甘ったるいだけのバラードでは無い…。
音階はやはり、フリーと言う事もあって、モード以上に自由に設定されて演奏していますし、でも「コールマン」と「チェリー」二人のユニゾンや掛け合いは、ちゃんと調整がなされているんです。
このトラックは素晴らしいです。