紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ソウル・ミュージックも良いんでないの!スティービー・ワンダー~ジャングル・フィーバー

2007-07-23 23:37:04 | ポップス・ソウル
今日はブラック・コンテンポラリー、ソウル・ミュージックを聴きましょう。

「スティービー・ワンダー」と言えば、10代から天才の名を欲しいままとして、モータウンサウンドに「インナービジョンズ」や「キー・オブ・ライフ」など、60年代後半から、70年代に架けて、数々の名盤を輩出して、80年代にも歴史的傑作「イン・スクエア・サークル」を世に出し、世界中から多くのディスク賞を受賞しています。
ところが、今日紹介するアルバムは、映画のサウンド・トラックとして、出したと言う事もあるが、彼のアルバムの中では、正直過小評価されている。
サウンド作りで言うと、「打ち込み」が多い事や、映画自体もあまりヒットしなかった事も要因であろうが、改めて聴いてみると…それ程悪くない。
いや、率直に言って、かなり良いアルバムだ。
ですから、今日はこの盤で行きましょう。

アルバムタイトル…ジャングル・フィーバー

スティービー・ワンダー

曲目…1.ファン・デイ、2.クイーン・イン・ザ・ブラック、3.ジーズ・スリー・ワーズ、4.イーチ・アザーズ・スロート、5.心の傷跡、6.ガッタ・ハヴ・ユー、7.君の愛を信じて、8.ジャングル・フィーヴァー、9.アイ・ゴー・セイリング、10.ケミカル・ラヴ、11.キャンドルに灯をともし…

演奏について…お薦め曲のナンバー1は、非常に渋いバラードだが、7曲目「君の愛を信じて」は、アコースティックな編曲に、「スティービー」の哀愁を帯びたロマンティックな曲調と、バックを彩るオーケストラの弦楽器群もとても良い効果をあげていて、感動的な1曲となっている。

同じくスローバラードの3曲目「ジーズ・スリー・ワーズ」、エレクトリックピアノだが、非常にリリカルで優しい歌い方の「スティービー」の美声、最高だ!!
こんなメロディを書ける男、心優しきコンポーザー&シンガー、やはり「スティービー」は唯一無二のミュージシャンですね。

2曲目「クイーン・イン~」は、正しく「ジス・イズ・ザ・スティービー・ワンダー」たる1曲で、彼の真骨頂が満載の名曲。
曲調や曲構成が、かつての「アズ」を思い起こさせる渾身の一曲です。

9曲目「アイ・ゴー・セイリング」は、名作「イン・スクエア・サークル」に収められた名曲「オーヴァー・ジョイド」を彷彿させるとても美しい曲で、ブラック・コンテンポラリーのバラードとはこう言う物と代弁している様です。

11曲目「キャンドルに…」は、歌詞的には結婚式に使用したら良いのか?それとも二人の愛を再確認するために結婚記念日に聴いたら良いのか?不可思議な気持ちにさせられるが、いずれにせよ、とてもメロディアスな佳曲には相違ない。

このアルバムで最初にシングルカットされたのは、6曲目の「ガッタ・ハヴ・ユー」で、打ち込みとギター・カッティングを中心にした曲調だが、「スティービー」の高音域を活かしたヴォーカルのおかげで、良い曲に出来上がっている。

オープニング曲「ファン・デイ」やタイトル曲「ジャングル・フィーバー」は、とてもポップで楽しい曲。
打ち込みが主だが、バックのコーラス、掛け声の効果が絶大で、両曲共とてもダンサブルな曲に仕上げた。

ジャズ狂信者に入信するかい?ザ・ワールド・オブ・セシル・テイラー

2007-07-23 00:05:59 | ジャズ・ピアノ・コンボ
大分前になりますが、「チャールス・ロイド」リーダーアルバム、「フォレスト・フラワー」で、ジャズ狂への扉を開けましたが、その後踏み出してはいませんでした。
そこで、今日は扉から3歩中へ入ってみたい方に、このアルバムを紹介しましょう。

アルバムタイトル…ザ・ワールド・オブ・セシル・テイラー

パーソネル…リーダー;セシル・テイラー(p)
      ブエル・ネイドリンガー(b)
      デニス・チャールス(ds)
      アーチー・シェップ(ts)

曲目…1.エアー、2.ジス・ニアリー・ウォズ・マイン、3.ポート・オブ・コール、4.E.B、5.レイジー・アフタヌーン

1960年11月19日録音

演奏について…セシル・テイラーと言う人は、フリージャズ系ピアニストの最高峰ですが、ピアノを「一打楽器」として性能の全てを発揮させる様な演奏をします。
ですから、フリージャズと言っても、実はそんなに騒がしく、狂乱演奏には聞こえません。
クラシックの新ウィーン学派、「ウェーベルン」や「シェーンベルグ」の曲を聴く方にとっては、案外なじみ易いのでは?と思います。

特にピアノトリオで演じられる2曲目「ジス・ニアリー~」は、非常に良い曲で、パーカッシブな「テイラー」のピアノ演奏が曲のそこここに見られますが、ベース「ネイドリンガー」と、ドラムス「チャールス」は、非常にベーシックな4ビートのリズムを刻み、そのリズムの中を「テイラー」が自由だが、かなりメロディアスなアドリブを弾いて、ピアノトリオの醍醐味が味わえる名演です。

逆に4曲目「E.B」は、フリー系の演奏としては、このアルバムの白眉だろう。
「ネイドリンガー」の超高速ベースライン演奏と、シンバルワークをメインとしつつ、時々空間的自由なソロをかます「チャールス」のドラムにサポートされた「テイラー」が、縦横無尽にピアノを弾き捲る。
時には低音域をメインに重厚さを出し、時には高音できらびやかで軽やかに蝶が舞うが如く演奏する。
テンポも超高速調から、静寂を思わせる低速まで、正に自由自在だ。

ラスト曲の「レイジーアフタヌーン」は、このアルバムで、スタンダードジャズ好きには、最もお薦めの1曲。
「シェップ」の演奏はミドルテンポのフリー係ったバラード的な演奏で、崩したブロックコードの「テイラー」は、まるで進化した「モンク」の様です。
リズムの二人は、オープニングから変わらず、礼節を重んじたシンプルな演奏で縁の下の力持ちに徹していて好ましい。
後半の「テイラー」のアドリブソロは圧巻、変則だがどことなくメロディアスで、やはり天才のなせる技であろうか。

3曲目「ポート・オブ・コール」も、やや高速調のテンポだが、リズムの二人は、非常に常識的なタイムキーピングに徹し、時折のソロも決してぶっ飛んではいない。
「テイラー」はここでも、ピアノをメロディ楽器ではなく、メロディを出せる「打楽器」として使用して、独自の境地を展開する。

1曲目「エアー」は、「シェップ」の初録音と言うこともあり、フリーと言っても演奏&アドリブに初々しさが残っており、そう言う意味では、「コルトレーン」や「ドルフィー」の後期アルバムの方が、よりフリー演奏に近いかもしれない。
「テイラー」の演奏は、一聴してアグレッシブだが、決してメチャクチャに弾いてはいない。
少し冒険したジャズカルテットぐらいの軽いつもりで聴いてOKです。