紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

「枯葉」名演の一枚…ウィントン・ケリー~「枯葉」

2007-07-06 23:53:20 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
ジャズの名演に枚挙に暇が無い名曲「枯葉」のこれまた名アルバムを今晩は紹介します。

アルバムタイトル…「枯葉」

パーソネル…リーダー;ウィントン・ケリー(p)
      ポール・チェンバース(b)
      サム・ジョーンズ(b) 
      ジミー・コブ(ds)

曲目…1.降っても晴れても、2.メイク・ザ・マン・ラヴ・ミー、3.枯葉、4.飾りのついた四輪馬車、5.ジョーズ・アヴェニュー、6.サッシー、7.ラヴ・アイヴ・ファウンド・ユー、8.風と共に去りぬ、9.チャーズ・ブルース

1961年7月20・21日録音

演奏について…やはり、アルバム表題曲「枯葉」が第一のお薦め曲であることは間違いない。
この演奏には「ケリー」の己を追い込み過ぎない余裕のあるピアノ・インプロビゼーションの魅力がタップリで、ほぼ同時期に録音された「枯葉」のピアノ・トリオ演奏の決定版「ビル・エヴァンス盤」と比べて、どちらが勝かと問うたら、万人が「エヴァンス」と言うでしょうが、だからと言って「ケリー盤」の価値が落ちる事は100%ないでしょう。
何故ならば、何度も言っておりますが、自らを究極に追い込むジャズも、寛ぎと余裕&楽しさ満載のジャズも、音楽としての普遍さは何ら変わりはなく、時に「追い込み型ジャズ」は聴いていて苦しくなる事(つまり苦痛になる時)があるが、寛ぎジャズにはそれは絶対に無いからです。
かと言って「寛ぎ系ジャズ」は、決してふざけた演奏をしている訳では無いので、何回もの視聴に絶えうる事ができる。
言わば、「普遍的価値」は、逆にこう言う演奏の方が実は高いのかもしれません。
何か学者気取りの発言をしてしまってすみません。

次いでは、正統派4ビートのブルース調佳曲の6曲目「サッシー」は、トリオ3人の持ち味がバランス良く形成された好演です。
「ケリー」の遊び心と、ほんの一寸の「哀愁」スパイスを効かせたシングル・トーンと、空間を活かすドラミングをする「ジミー・コブ」、そしてベースソロも素敵で、言う事なしの演奏です。

非常に短い曲だが、7曲目「ラヴ・アイヴ~」は、乙女心を直撃する様なラヴ・バラードで、こう言う曲を弾かせたら、ジャズ界広しと言えども「ケリー」の右に出る者はいない。
いや、「トミフラ」「ケニー・ドリュー」「レイ・ブライアント」あたりは好勝負をしそうかな。

2曲目「メイク・ザ~」も7曲目とほぼ同系統の演奏で、一言で言うと心が切なくなるバラッドです。
「コブ」のブラシ・ワーク、「チェンバース」のサポート・ベースも品良く「ケリー」をアシストしていて、goodです。

オープニング曲「降っても晴れても」の、「ケリー」のブロックコード一小節だけで、このアルバムの楽しさと期待が聴衆に伝わってくる。
演奏しているメンバー(トリオ全員)が最強の「マイルス・クインテット」のリズム・セクションであり、粗を探しても、悪い演奏になる理由は全く見つからない。
チェンバースの音色だが、VEE JAYの録音だと、ブルーノートなどの演奏よりは、締まったトーンで録音されていて、聴いているととても新鮮な印象です。