紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

キューバン・ミュージックをピアノ・トリオで…キエレメ・ムーチョ~スティーブ・キューン・トリオ

2007-07-19 23:48:10 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
スティーブ・キューン・トリオが送る、楽しくてハイ・センスなキューバン・ミュージックを題材とした、ピアノ・トリオ・アルバムが、今日紹介の盤です。

録音も、ヴィーナスレコードのハイパー・マグナム・サウンドにて、ピアノ、ベース、シンバル等の音が粒立ち良く立っている、高品質サウンドです。

アルバムタイトル…「キエレメ・ムーチョ」

パーソネル…リーダー;スティーブ・キューン(p)
      デヴィッド・フィンク(b)
      アル・フォスター(ds)

曲目…1.そよ風と私、2.ベサメ・ムーチョ、3.いつも私の心に、4.デュエルメ、5.キエレメ・ムーチョ、6.君なしでは

2000年2月20日

演奏について…まず、馬鹿の一つ覚えですが、2曲目「ベサメ・ムーチョ」は、とても良い演奏ですねぇ。
いかにも21世紀の「ベサメ~」と言って良いような、かなり高速調のテンポで、「キューン」のアドリブメロディがとてもハイ・センスで、キューバン・ミュージックを素材としながらも、ジャズ・ピアノ・トリオの最良部を見せ付けられる演奏です。
「キューン」は、曲の中途では、「ティコ・ティコ」や「ハバネラ」のフレーズをアドリブ演奏で挿入している弾いている所などは、微笑ましい限りです。
それを受ける超絶ドラマー「フォスター」のスティックさばきも華麗で、「キューン」との絡みも絶妙です。

これと甲乙点け難い双璧の演奏は、6曲目「君なしでは」で、この演奏の序盤の主役は、ズバリ、ベースの「フィンク」です。
ここでの「ベースアドリブソロ」は、とにかくすごいの一言!!
この曲でのトリオ演奏解釈を端的に説明すれば、「キース・ジャレット・(スタンダーズ)トリオ」の名演にソックリですね。
後半の「フォスター」のドラムソロも、抜群のドライヴィング推進力で、3人の演奏世界に引きずり込まれる。
哀愁のピアノアドリブソロも傑出していて、演奏の起承転結も完璧で、個人的にはベスト・チューンに挙げたい名演。

3曲目「いつも私の心に」は、ミドルテンポのラテン調バラードで、とにかく「キューン」の紡ぐメロディがロマンティックで、「フィンク」もメロディアスなベースソロを刻み、「フォスター」はシンバル演奏に終始して、二人をサポートしています。

タイトル曲、5曲目「キエレメ・ムーチョ」は、「寛ぎ」第一の演奏。
「キューン」はシングルトーンを中心に、原曲のメロディを尊重しながら、優しきアドリブソロを展開する。
「フォスター」は、空間を活かしたラテンメロディのリズムを刻み(敲き)続ける。
「フィンク」は上品に、ベースラインを引き続ける。
3人は、単純の様でいて、とても奥深い名演奏に仕上げた。

1曲目「そよ風と私は」ワルツラテンリズムに乗って、3人のコラボレーションが見事な調和を見せる。
スタートから心を鷲掴みする、オープニング曲に相応しい秀演。

4曲目「デュエルメ」は、「フォスター」の超絶技巧ドラムスのすごテクに、KOされる事必至!!
「キューン」「フィンク」もぶいぶい言わしながら、曲を弾いて颯爽と駆け抜けるスポーツ・カーの様な快演です。