<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

中国で感じる日本企業の生きる道(後編)

2012-09-12 | 中国ビジネス

1週間ぶりのブログ更新となってしまいました。
実は、先週の水曜日から一時帰国していましたので。
やはり日本に戻ると忙しくて、グッタリです。。。

では、前回の続きを帰国時の印象も交えながら展開していきたい。

筆者、日本に戻るといつも感じる感覚がある。
端的に言うと、ホッとする安心感。
まあ、近いとはいえ、母国(ホームグラウンド)に帰るワケだから、当たり前と言えばそれまでだが、日本の場合、それだけでもないような気がする。
街並みを見ても、人通りが少なく、整然としていて、犯罪とは無縁のような感覚に陥る。
確かに犯罪率は低いのだが、ニュースを観ると最近は凶悪犯罪の多発さが目立つ。
この先、現在ほど安心感をもって生活できなくなる可能性は高いかも。。。

こうした社会環境が、仕事に向かう姿勢に反映されているという面はあるだろう。
昨今の若者は、とかく「安定志向」と言われ、ガツガツ仕事をこなす肉食系より誰にでも好かれる草食系を目指す傾向が強いようだ。
筆者も20年近く働いているので、こうした変化、うなづけるところが多い。

しかし、本来「仕事」とはどういった性質のものなのだろうか・・・?
サラリーマンにせよ、公務員にせよ、働くことによって給料を手にする。
裏返して言えば、給料をもらうために働くワケだ。

そして、より高い地位になれば、仕事のやりがいも高まるし、給料もアップしていくことになる。勿論、責任も重くなるワケで、そうした重荷になるデメリットと待遇面でのメリットを天秤にかけると、適当なバランスが良いという判断になることが背景にあるのだろう。


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こうした社員の増加が、組織の体力を少しずつ奪っていくことは想像に難くない。
ましてや株式会社の場合、「株主利益の最大化」というのが原則。
上場企業に至っては、基本的に前年度以上の増収増益を果たさない限り、株式市場で容赦なく自社の株式が売り叩かれることになる。
つまり、日本企業、日本社会においては、こうした「経営と現場のミスマッチ」が顕著になっていると筆者は考える。

このような状況を説明するには、個人商店を例にするといいだろう。
個人商店の場合、経営者も労働者も同一人物。
したがって、経営しながら働き、働きながら経営の心配をするというサイクルが自然に成り立っていることになる。

いま、日本のサラリーマンの中で、どれだけの人が自社の経営のことを自分自身のことと捉えて行動できているだろうか?
経営危機が囁かれているシャープにしても、ある日突然、現在のような苦境に陥ったワケではない。ここまでに至るには、少なくとも各人が予感できるような予兆が色々とあったはずである。
こうした予兆に対して、小さなことだったとしても何ら対処してこなかった社員には、経営者の責任を問う資格がないことは言うまでもないだろう。

端的に言うと、いまの日本社会には「がむしゃらさ」が足りないのだ。
(この言葉自体、もはや死語に近いのかも知れないが)
ビジネスの社会において、これは更に顕著になる。
ましてや、いまは「国際競争」の真っ只中。
アジアで急成長する国々の人々は、自分の暮らしを豊かにするため、がむしゃらに攻勢をかけてくる。
ここには「与えられた仕事を淡々とこなす」といった消極的な姿勢はどこにもない。しかも、主戦場となるのは彼らの本拠地なのだから、日本的な仕事の進め方で到底太刀打ちできる相手ではないだろう。


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ここまでの話、分かりきったことと感じる読者も多いだろう。
だからこそ、「これから何を目指すのか」が重要になってくる。
いわゆる「現地化」という言葉が叫ばれて久しいが、今までは現地企業の未熟さもあって、そこまで真剣に取り組んでこなかったというのが実情だろう。

この「現地化」という言葉、漢字から受ける印象とは裏腹に、各企業の国際化に向けた取組みがベースになることに気付いている読者は多いだろうか?

「現地化」とは、文字どおり「現地のベースに合わせる」ということ。
これは、待遇面や仕事のレベルも合わせていくということに他ならない。
つまり、ほとんどの大企業の駐在員が日本人向けの高級マンションに住んでいるという状況は、今後見直していかざるを得ないことになる。
だって、現地採用の中国人は5万円ソコソコの住居に住んでいますからね。
現時点でも、仕事のレベルを素で比べて「不公平だ」と思っている社員は多いと思いますから。。。

この駐在員の住居レベル適正化、最初は酷かも知れないが、中長期的に考えるとメリットが大きいことが分かる。
住居トラブルもある程度、自分で解決しないといけないので、必然的に語学力を高めようとする。
また、現地の生活レベルを知ることで、現地に即したニーズなどが把握しやすくなるのだ。

加えて、今後増えると予想されるのは、現地人の幹部登用。
これも人事管理の面から考えると、相当悩ましい問題に発展しかねない。
通常、日本ではどんなに優秀な社員でも、他の同期よりも少し昇進が早いといった違いがほとんど。
まだまだ年功序列の色彩が強いワケだ。

一方で、中国は米国と同様、「実力優先主義」。
英語を流暢に操る幹部層も多く、国際化は日本と比べものにならないほど進んでいる。
つまり、日本企業が優秀な現地人を雇用するには、かなりの高待遇を用意する必要があるのだ。
ここで壁になるのが、日本の人事制度との整合性。
同じような年齢、職責にも関わらず、幹部社員については中国のほうが若くて給料が高いという現象が次々に起こってくる可能性が高いのだ。
なぜかと言うと、そうしなければ優秀な人材がどんどん欧米企業や大手国有企業などに流れてしまうからだ。
日本企業の管理部門が、このような危機意識を持っているか、現時点では疑わしいと感じている。

日本は海に囲まれた資源に乏しい国。
貿易立国として発展してきた歴史には、それなりの根拠があった。
また、世界第2位の経済大国になるに当たっては、先人のがむしゃらな頑張りがあったことは言うまでもない。

しかし、時代は変わってしまった。
日本の貿易量は既に中国に及ばず、国際港湾という観点では韓国釜山にも後れをとっている状況にある。

こうした中、日本人がもう一度「がむしゃらさ」を取り戻さなければ、後戻りできない「衰退」しかないように思えてならない。
筆者も、チーム日本の一員として、出来ることから着実に、そしてがむしゃらに仕事に取り組んでいきたいと思う。

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