野口昭子著『回想の野口晴哉・朴歯の下駄』(ちくま文庫)を読んでいたら、面白い記述を見つけました。
まあ、この本はどこを読んでもためになり、面白いのですが……。
それは「気づかい」という章の中にあります。
ある人へ電報を打つ時、電文を15文字以内に収めようとして、弟子が次のような電文を考えました。
「コノヒトハヨイトオモウ ノグチ」。
それを知った晴哉氏は、電文を持って電報を打ちに出た弟子を、別の弟子に追いかけさせます。
「オモウとオモイマスでは相手の受けた感じが違う。料金の問題じゃない」というのが晴哉氏の考え方です。
ああ、なるほどその通りですと、感じ入ってしまいました。
言葉とは不思議なもので、出す側と受け取る側に、ときに微妙な温度差を感じさせるものを持っています。
親しければこそ、相手に礼を尽くしたいし、言葉によって、その関係性が微妙に動くものでもあるようです。
「ありがとう」ではなく、「ありがとうございます」など、丁寧な言葉を使えるといいなと思います。
野口晴哉氏の本の中の「気づかい」という章。
どのページを開いても、私に言われているようで、なかなか先に進みません。
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