子供の頃は、そんなにカレー好きではなかった。
せっかく作ってくれたんだから、食べることは食べるけど、そっから2日くらい普通にカレーざんまいになるなが嫌いだった。
だが一人暮らしして、このカレー嫌いが変わる。
一人暮らしして一番変わるのが味覚。
子供の頃は肉ばっか食ってたけど、一人暮らしすると、肉ってあんまり高級感なくなる。魚とか煮物とかの方がブッチギリで高い。
作るのも手間かかるし。
肉食べたかったら、普通にお湯で温めるハンバーグと食えば良い。あんなん1袋100円だから。
なかなか食べられない、という理由だけで、いつの間にか魚大好きになってました。
そんな、いつの間にか好きになってたシリーズの代表がカレー。
金ないときは、安いレトルトのカレー買ってきて、なんでもカレー。
パンにカレーとか、焼きそばにカレー、パスタにカレーとか、ラーメンにカレー、豆腐にカレーとか。
もうカレーの魔術師。
そうこうしてる内に、カレーにはちょっとウルサイ人みたいになって。
新宿らへんにあるカレーショップはたいてい食ってる。
その幅はインド系からタイ系にまで至れり尽くせり。
あのコマ劇場の前にあった立ち食いソバ屋のカレーが強烈。
何が?って量が。
なにあれ?
普通に2、5人前。
値段は安い。
それで600円くらいですから。
最初にその店を発見したのは僕。
飲み会の帰りで腹へって。
なんも食えないような飲み会で、もうグーグー腹鳴ってて、解散した後にソバでいいからすぐ腹いっぱい食べたい、とその立ち食いソバ屋に入って。
かけそばとカレー大盛、
と僕が注文すると、店員さんが僕に言うのです。
「いや、絶対に食べられないから、ソバはヤメません?」と。
なにを!
バカにするな、と。
こちとら人様が作ってくれた食べ物を粗末に残したことなんて1度もねぇ!
見下すんじゃねぇ、と。
「そうですか、分かりました」と店員。
で、ソバが出てきて、
追っかけ、カレーが僕の眼前に。
なにこれ?
バケツ?
みたいなカレーが出てきて。
走馬灯みたいなものが脳裏をよぎりつつ、カレー完食。
残されたソバ。
もう胃のスミズミまでカレーが行き渡り、空間がない。
胃が驚いてるわけです。
「なぜカレーがこんなに!?」と。
「すいません、無理です」と泣く泣く店員さんにギブアップ。
生まれて初めての敗北。
ミルキーはママの味ならぬ、
敗北はカレー味。
それから数ヶ月して、
Yさん、Oさんと飲んだ後にボーリングへ。
負けた人の罰ゲームで、
負けた人はそのバケツカレー食う、と僕が提唱。
もうね、負けられない。
なんとか負け回避で、
カレー餌食はOさん。
食べたあとのOさんの腹が、もう生まれます、みたいになっててスゴかった。