無知の涙

おじさんの独り言

ジャン・クリストフ

2007年11月26日 | 小説

久しぶりの作品紹介です(ネタがない為)。

今回は「ジャンクリストフ」という本を紹介させて頂きます。

著者はロマン・ロラン(1866-1944)です。

この方は1915年にノーベル文学賞を受賞しております。

この作品は文庫本で全4冊という長編小説です。

カラマーゾフの兄弟を越える圧倒のページ数でしたが、非常に躍動感あふれる文体に魅せられ、けっこう夢中になって読破してしまいました。

「ジャンクリストフ」とは

天才的作曲家ジャン・クリストフが、芸術を通して様々な出会いや別れ、苦難を経験して、少しずつ成長してゆく様子を描いたヒューマニズム小説です。

物語の前半はクリストフの闘争が主に描かれています。クリストフに対して無理解な周囲の者たちとの闘い旧態依然としたパリ上流階級のお体裁な価値観への闘い、過去の偉大な作曲家への闘い、ドイツの堅苦しい社会への闘い。

クリストフの溢れ出る才能が、自由を求める心が、時には彼を獰猛な獣のように闘争へ駆り立てます。と言ってもあくまで精神的な話です。

この前半部分のクリストフの反骨精神というか、反逆精神は、若い読者なら大いに共感できると思います。僕も思わず本を握る手に力が入ったりしました。

そして唯一の友のや、愛すべき人たちとの出会いや別れなどを経験しながら、その魂は逞しく、揺るぎないものとして大成していきます。

ラストはクリストフの大いなる精神に導かれ、ダンテの神曲」天国篇に通じるような壮大さを感じました。

読み終えた時には深い感動によって、しばし呆然としてしまいました。

他人に流されずに、自分の真実を貫き通す。

何が善で、何が悪なのか、真実とは何か?それは容易に答えの出せるものではありません。一般論としてではなく、個人的なレベルでの答えは非常に難しいように思えます。

それはクリストフのように全人生を賭して、ようやく最後に辿り着くことのできるようなものである気がします。

もちろんその人が賭けた分に値するものしか支払われないのでしょうが。

 

 


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