無知の涙

おじさんの独り言

ホラー小説

2008年11月15日 | 小説

グロ系への抗体が皆無なため、
全く受け付けません。


映像はダメですねぇ。
バタリアンのCM
をチラ見しただけで
未だにトラウマですから。


こんだけ徹底的にダメだと、
我ながらちょっと微笑ましい。


でも小説となると、少しは読みます。
あの角川ホラー。


リング
らせん


この2作品は、映像化されていますが、
映像よりも小説の方が面白い!だんぜん!
寝ないで読んだ記憶があります。


あとは死国


 


四国八十八ヶ所巡りは20歳の頃から
興味を持ち、いつかやってやろう!と思っていたので、
なんとなく読んでみました。
うーん、あまり何ともない内容でした。


これまでに紹介した作品は
精神的に追い詰められる怖さはありますが、
肉感的な怖さ、グロさは殆ど皆無な作品です。


最後に紹介する、この作品↓


D-ブリッヂテープ



この作品はキました。
当時の会社で上司から勧められたのですが、
もうスゴかった。


あらゆる想像力をシャットダウンしないと耐えられない描写
がけっこうありましたが、内容は良かったです。


とある会議室で1本のテープが再生される。

そのテープは、「D-ブリッジ」で発見されたものであった。
ある少年の死体に抱えられて。
ゴミの不法投棄が問題となる「D-ブリッジ」、
親に捨てられ、そこで生活することになってしまった少年。
その少年の独白がテープには収められていた。
少年と少女との出会い、死、生まれてきたことの意味。




あなたには少年の魂の叫びを最後まで聴き取ることができるでしょうか。




 


太宰治 没後60年

2008年06月20日 | 小説

太宰治が玉川上水に身を投げてから、
今年で60年。

昨日行われた、毎年恒例の「桜桃忌」には
例年の5倍近くになる500人が太宰の墓前で手を合わせたという。


僕も以前に太宰治の墓前に立ったことがあります。
24歳くらいの時でしょうか。

日曜日の朝6:00に家を出て、
自転車で三鷹にある禅林寺まで行きました。

いや、遠かった。

もともと禅林寺は森鴎外の墓があることで有名でした。
寺の門を抜けると右側に鴎外の碑があります。
太宰自身の作品である「花吹雪」で、こう記しています。

「この寺には、森鴎外の墓がある。
 墓地は清潔で、鴎外の文章の片影がある。
 私の汚い骨も、こんな小綺麗な墓地の片隅に埋められたら、
 死後の救いがあるかもしれない」

そんな太宰治のお墓は森鴎外の牌の斜め前にあります。

本来は実家(青森)の墓に骨を埋めるべきなのでしょうが、
実家から拒否されてしまったようです。
太宰ファンならよく分かるところです。

 

その日は非常に天気もよく、
コンビニで買っていった日本酒を墓前に供え
僕も飲めない日本酒を飲みました。

なんか不思議な気持ちでしたね。
全然、会ったことも話したこともない人物のお墓をお参りするのって。

でも忘れ難い思い出となりました。

太宰ファンだけど、まだ行ってない!
という方は行ってみてはどうでしょうか。

ちょっとした太宰グッズも売ってます。
僕はハートに模られた木の板に、
「生まれて、すみません」
と本人の直筆(?)がプリントされた飾りを買いました。
部屋に飾ってあります。


禅林寺:三鷹市下連雀4-18



ジャン・クリストフ

2007年11月26日 | 小説

久しぶりの作品紹介です(ネタがない為)。

今回は「ジャンクリストフ」という本を紹介させて頂きます。

著者はロマン・ロラン(1866-1944)です。

この方は1915年にノーベル文学賞を受賞しております。

この作品は文庫本で全4冊という長編小説です。

カラマーゾフの兄弟を越える圧倒のページ数でしたが、非常に躍動感あふれる文体に魅せられ、けっこう夢中になって読破してしまいました。

「ジャンクリストフ」とは

天才的作曲家ジャン・クリストフが、芸術を通して様々な出会いや別れ、苦難を経験して、少しずつ成長してゆく様子を描いたヒューマニズム小説です。

物語の前半はクリストフの闘争が主に描かれています。クリストフに対して無理解な周囲の者たちとの闘い旧態依然としたパリ上流階級のお体裁な価値観への闘い、過去の偉大な作曲家への闘い、ドイツの堅苦しい社会への闘い。

クリストフの溢れ出る才能が、自由を求める心が、時には彼を獰猛な獣のように闘争へ駆り立てます。と言ってもあくまで精神的な話です。

この前半部分のクリストフの反骨精神というか、反逆精神は、若い読者なら大いに共感できると思います。僕も思わず本を握る手に力が入ったりしました。

そして唯一の友のや、愛すべき人たちとの出会いや別れなどを経験しながら、その魂は逞しく、揺るぎないものとして大成していきます。

ラストはクリストフの大いなる精神に導かれ、ダンテの神曲」天国篇に通じるような壮大さを感じました。

読み終えた時には深い感動によって、しばし呆然としてしまいました。

他人に流されずに、自分の真実を貫き通す。

何が善で、何が悪なのか、真実とは何か?それは容易に答えの出せるものではありません。一般論としてではなく、個人的なレベルでの答えは非常に難しいように思えます。

それはクリストフのように全人生を賭して、ようやく最後に辿り着くことのできるようなものである気がします。

もちろんその人が賭けた分に値するものしか支払われないのでしょうが。