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街の散歩…ひとりあるき

ものほしへ ふつとあがつて ごぜこまり…『畫本柳樽』五編

2020年05月31日 | 川柳

ものほしへ
ふつとあがつて
ごぜこまり

物干しへ
ふっと上がって
瞽女(盲目の女芸人)困り


瞽女に手を
ひかれ八ツはし
わたるなり

瞽女に手を
ひかれ琴「八橋流」を
習うなり


昼すぎの
むすめハ琴の
でしもとり

婚期過ぎの
娘は琴の
弟子もとり


琴の師は
さミせんこじき
めくといひ

琴の師
三味線は乞食
めくと言い


八ツはしで
世をわたるのハ
ひんがよい

琴「八橋流」で
世を渡るのは
品がよい
※八橋:渡る


下手な琴
仲達ほどに
座中にげ

下手な琴
仲達ほどに
座中にげ
※“死せる孔明、生ける仲達(ちゅうだつ)を走らす”


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三国の 王をはめたも ひとつ穴…『畫本柳樽』五編

2020年05月30日 | 川柳

三国の
王をはめたも
ひとつ穴

(天竺・大唐・朝廷の)三国の
王をはめたも
ひとつ穴(九尾の狐)


猿猴を
けものなかまで
用心し

(盗人の)猿猴を
けものなかまで
用心し


八月の
十五夜うさぎ
もん日なり

八月の
十五夜うさぎ
紋日(祝事)なり


はつ午の
たぬきつくづく
おもふやう

初午(稲荷神社の祭日)の
狸つくづく
思うやう
(狐ばかりいいなぁ)


いひ櫃へ
ねづミまんまと
しのび入

飯櫃へ
鼠まんまと
忍び入り
※飯櫃とマンマが縁語


ばくの子ハ
芝居のゆめを
くひたがり

獏の子ハ
芝居の夢を
食いたがり


聖人の
御代にハ獏の
きゝんなり

聖人の
御代にハ獏の
飢饉なり
※“聖人に夢なし”


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しよく台は けぬきであたまを ひツきられ…『畫本柳樽』五編

2020年05月29日 | 川柳

しよく台は
けぬきであたまを
ひツきられ

燭台は
毛抜き(のような器具)で頭を
引っ切られ


しよく台ハ
けぬきを顎の
下タへさげ

燭台は
毛抜きを顎の
下へ提げ


すきはらの
けんびしはらを
ゑぐるよう

空き腹に
剣菱(名のごとく)腹を
抉るよう


日々日々に
またあらたなり
米のめし

日々日々に
またあらたなり
米の飯


ふき竹の
風になミたつ
帆立貝

(火)吹き竹の
風になミたつ
帆立貝(鍋)


青海苔に
まためぐりあふ
貝じやくし

青海苔に
また巡り会う
貝杓子


行きあたると
だまつてハゐぬ
銅だらひ

行き当たると
(大きな音たて)
黙ってはいぬ
銅盥


竹やりで
はらゑぐらるゝ
米だわら

竹槍(米刺し)で
腹抉らるゝ
米俵


ほうらくに
あられたばしる
はるの雨

焙烙に(豆炒る音)
霰た走る
はるの雨(のよう)


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浪のつゞミ まひこのはまに うちよせる…『畫本柳樽』五編

2020年05月28日 | 川柳

浪のつゞミ
まひこのはまに
うちよせる

浪の鼓
舞子の浜に
打ち寄せる
(鼓と舞子が縁語)


田毎ほど
月かげのもる
ふ破の関

(棚)田毎(の数)ほど
月影の漏る
(美濃の)不破の関(跡)


月と中
よければ雨と
ふ破のせき

月と仲
良ければ雨と
不破(不和)の関


よく年は
千代井戸ばたを
よけてうえ

翌年は
千代(加賀千代女)井戸端を
避けて植え
※“朝顔に釣瓶とられてもらひ水”加賀千代女

くる人を
むしがしらせる
草のいほ

来る人を
虫が知らせる
草の庵


秋風の
ふくにつけても
袷袷

秋風の
吹くにつけても
袷袷(が要る)


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松しまの ゆきハまことに むつの花…『畫本柳樽』五編

2020年05月27日 | 川柳

松しまの
ゆきハまことに
むつの花

松島の
雪はまことに
陸奥(六つ:六角)の花


はつゆきや
つかひなんぎと
でつちよミ

初雪や
使い難儀
丁稚詠み


にんじんの
しらあひゆきの
赤がつは

人参の
白和え雪の
赤合羽(のようだ)


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