matta

街の散歩…ひとりあるき

乳貰ひは子に似て親の顔もや勢…『畫本柳樽』十編 

2020年09月30日 | 川柳

■乳貰ひは子に似て親の顔もや勢
 乳貰いは子に似て親の顔も痩せ

子は飢え気味、親は気苦労で子に似て痩せ

■人お路か美人登ゐゑど皮飛とへ
 人愚か美人と言えど皮一重

■なくよりもあわ礼捨て子の笑ひがほ
 泣くよりも哀れ捨て子の笑い顔

■休うち太鼓亭あをく盆踊り
 休むうち太鼓であおぐ盆踊り

盆踊りの休憩中、小さな太鼓が団扇がわり

■色免いた声に骨折宇たひの師
 色めいた声に骨折る謡の師

■聞おじで二度目の高尾すなほ也
 聞きおじで二度目の高尾素直なり

先輩高尾:仙台侯を振って吊し切りされる
後輩高尾:先輩高尾の例を聞き知っていて榊原侯の身請けに応じた、と

(読みほか参考...『画本柳樽全十編』江戸川川柳研究会)

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覚へのわるいのを杵屋はもちにつき…『畫本柳樽』十編 

2020年09月29日 | 川柳

■覚へのわるいのを杵屋はもちにつき
 覚えの悪いのを杵屋は餅に搗き

餅に搗く:もてあます
杵と餅が縁語

■木魚講どうかキレマンもんの屋う
 木魚講どうかキレマンモンのよう

木魚講:葬儀のための積み立て講。葬儀の際、木魚を
首から吊し念仏唱え野辺送り
キレマンモン:陽神が大睾丸の神、それを褌に結んで
肩にかけたという。それを木魚が連想させた。

■乳母は喰ひかけてあゝ大水た大水た
 乳母は食いかけてあゝ大水だ大水だ

大水だ大水だ:赤子のオシッコだ

■苔むし亭碑銘の光るばせう塚
 苔むして碑銘の光る芭蕉塚

■加わ(ら)けの下ば隠居入礼たがり
 土器の下歯隠居入れたがり

下歯:妻
かわらけ:陰毛のないこと

■好きな乳(う)ハ本屋をしかりしかり見る
 好きな乳母本屋を叱り叱り見る

本屋の春本を見ている…

(読みほか参考...『画本柳樽全十編』江戸川川柳研究会)

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目の覚ぬうちヮ知れ礼なひ天の道…『畫本柳樽』十編 

2020年09月28日 | 川柳

■目の覚ぬうちヮ知礼なひ天の道
 目の覚めぬ内はしれない天の道

誤りに気づかぬうちは分からぬ有るべき道

■老母を呼んで角つこで見て貰ひ
 老母を呼んで隅っこで見て貰い

隅っこで産婆にみてもらい

■堅ひ気の人和らかな心ろ差し
 堅い気の人和らかなこころざし

志の堅い人は心もやさしい

■五條の道にとがむる関はなし
 五條の道に咎むる関はなし

五條:五常(仁、義、礼、智、新)の縁語か

■神佛にご無沙汰もうすほどな無事
 神仏にご無沙汰申す程な無事

■外(ほか)をかさらぬ内心の美しさ
 外を飾らぬ内心の美しさ

(読みほか参考...『画本柳樽全十編』江戸川川柳研究会)

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有限の音ほねを出す野かけ道…『畫本柳樽』十編 

2020年09月27日 | 川柳

■有限の音ほねを出す野かけ道
 有りきりの音骨を出す野かけ道
 
有きりの音骨:あらん限りの声
野かけ道:ピクニック

■声色で帰る盤宵の寒念仏
 声色で帰るは宵の寒念仏

念仏を唱えながら寒夜をまわる
が、早いとこ宵のうちに終えてしまう

■占ない者脈登こ路から切て置き
 占い者脈所から切って置き

脈所から切って置き:手首から先の図を置き

■山姥の謡きんと起が事ハ那し
 山姥の能金時が事はなし

金時は山姥の子だそうだ、が、謡曲『山姥』に
金時のことが出てこないね

■神くら堂淋しく打(たたく)定値多ん
 神楽堂淋しく叩く定値段

定値段でのお参りは太鼓を叩く音も淋しいね

■川留丹手尓者越直す旅日記
 川留にてにはを直す旅日記

 川留めのつれづれに旅日記の文章てにおはを直し

(読みほか参考...『画本柳樽全十編』江戸川川柳研究会)

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那希入のやう丹樒ハ賣のこり…『畫本柳樽』十編 

2020年09月26日 | 川柳

■那希入のやう丹樒ハ賣のこり
 投げ入れのように樒(しきみ)は売れ残り

仏前に供える樒、売れ残り、投げ入れの姿…

■すき腹へ剣菱ゑくるやう丹き幾
 空き腹へ剣菱抉るように効き

■楚禮ミ多かがん酒のばちで菰(こも)可婦り
 それ見たか願酒の罰で菰かぶり

禁酒の願掛け破って、それ見たか、菰被り(乞食)

■書を起ハ見つかり安ひ登古へ置
 書置は見つかりやすいとこへ置き

■く多飛れたやつが見つける一り塚
 草臥れたやつが見つける一里塚

 一里塚には休憩所があった

■てんくう耳談義聞□花もどり
 てんくうに談義聞く□花もどり

花見帰り、酔った頭で談義聞き…か

(読みほか参考...『画本柳樽全十編』江戸川川柳研究会)

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