matta

街の散歩…ひとりあるき

15ほれたまねじやうづにするではやるなり 『画本柳樽三編』 

2022年08月31日 | 川柳

ほれたまねじやうづにするではやるなり
惚れた真似上手にするで流行るなり

はやりおやまおきて居るよなひまハなし
流行り女形起きて居るよな暇はなし

つりばりのやうなかしくできやくをつり
釣針のやうなかしくで客を釣り

かしく:かしこ(女性が手紙の最期に書く)
縦書き「かしこ」が釣針のかたちに似ている、と

けいせいハなミだおきやくハよだれなり
傾城は涙お客は涎なり

あどけないやうでむしんにぬけめなし
あどけないようで無心に抜け目無し

あいつ、いくらとってやろうか

のたくつたミゝづをゑばにきやくをつり
のたくった蚯蚓を餌ばに客を釣り

のたくった蚯蚓のような文字で客を釣り

はながミを口にあづけて手をあらひ
鼻紙を口にあづけて手をあらひ

なまめかしい、と
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14おやの爪その火をむすこ茶屋でけし 『画本柳樽三編』

2022年08月30日 | 川柳

おやの爪その火をむすこ茶屋でけし
親の爪その火をむすこ茶屋でけし

四季をりをりのたはむれに母こまり
四季折々の戯れに母困り

春は花見、秋に月見や紅葉狩り、冬は雪見
と称しては吉原通い

まる山のけいせいふねをかたむける
丸山の傾城船を傾ける

丸山:長崎丸山の傾城
丸山の傾城は、城主まではいかなくとも
湊出入りの船くらいは傾ける

城でさへいはんやくらにおいてをや
城でさえ况んや蔵においておや

ばひやつてかふろほたるをつかみけし
奪い合って禿(かむろ)螢を摑み消し

禿は、螢を奪い合い、ついには殺してしまった
禿:下働きの女の子
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13据え膳を嫌いで息子は買い食いし 『画本柳樽三編』

2022年08月29日 | 川柳

すゑぜんをきらひむすこはかひぐひし
据え膳を嫌い息子は買い食いし

四ツ切をやぶりはじめハわかだんな
四つ限(ぎ)りを破り始めは若旦那

四つ:午後十時、午後十時の門限破り
夜遊びで四つ限破り始めは若旦那
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12仲の町さくらにまけぬやなぎごし 『画本柳樽三編』

2022年08月28日 | 川柳
 
仲の町さくらにまけぬやなぎごし
仲の町桜に負けぬ柳腰

吉原仲の町の夜桜にまけぬ、花魁たちの柳腰…
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11松はつれなしさくらにハつれがあり 『画本柳樽三編』

2022年08月27日 | 川柳

松はつれなしさくらにハつれがあり
松は連れなし桜には連れがあり

松見物では連れができないが、
吉原の夜桜見物なら連れができる
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