matta

街の散歩…ひとりあるき

後ぞひは ねづミが出ても びっくりし…『畫本柳樽』初編

2020年04月30日 | 川柳

後ぞひは
ねづミが出ても
びっくりし

(先妻の影におびえ)
後添いは
鼠が出ても
びっくりし


蚊をやいた
あとはそのばの
できごゞろ

(紙燭で)
蚊をやいた
後はその場の
出来心


地白から
そろそろよめを
はぎはじめ

(亭主の)自白から
そろそろ嫁(の持参品)を
剥ぎはじめ


衣類まで
まめでゐるかと
はゝの文

衣類まで
まめ(健康)でいるかと
母の文


かし本屋
なにを見せたか
どうづかれ

貸本屋
(客に)何を見せたかと
(妻に)胴突かれ


かし本や
おとしははなしも
してかへり

貸本屋
落とし噺も
して帰り


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さいそくも 質屋はゆるり ゆるりとし…『畫本柳樽』初編

2020年04月29日 | 川柳

さいそくも
質屋はゆるり
ゆるりとし

催促も
質屋はゆるり
ゆるりとし
(利息あり質草もあり)


おきつけぬ
やつははおりに
ひもをつけ

(質屋に)置きつけぬ
やつは羽織に
紐をつけ(たまま)


ごまめ売
猫に一ひき
ついしやうし

田作売り
(客の)猫一匹に
追従し


あしどめに
さかづきバかり
出しておき

足止めに
盃ばかり
出しておき
(只今ご用意を…)


のまぬ客
たびたび酌に
ときを聞

下戸の客
酌のたびたび
いま何時か、と


いざよひハ
おやぢ小言の
最中なり

十六夜は
親父小言の
最中なり
(吉原の紋日・十五夜翌日のこと)


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抱た子に たゝかせて見る ほれた人…『畫本柳樽』初編

2020年04月28日 | 川柳

抱た子に
たゝかせて見る
ほれた人

抱いた子に
叩かせて見る
惚れた人


あいさうも
男にすれば
疵になり

愛想も
男にすれば
(誤解の)疵になり


子をだけば
をとこにものが
いひやすし

子を抱けば
男にものが
言いやすし


引こしの
あとから娘
猫をだき

引越の
(荷車)あとから娘
(愛)猫をだき


手の甲に
もちをうけとる
すゝ払ひ

手の甲に
餅をうけとる
煤払い


すゝはきに
ひとりか二リ
馬鹿になり

煤掃きに
ひとりか二人
馬鹿(な姿)になり


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夜そばうり いつの間にやら 子をでかし…『畫本柳樽』初編

2020年04月27日 | 川柳

夜そばうり
いつの間にやら
子をでかし

夜蕎売り
(夜留守にしながら)
いつの間にやら
子をでかし


夜そばうり
ふるへたこゑの
人だかり

夜蕎麦売り
(寒さ)震えた声の
人だかり


よそバ切
かけおちものに
ふたつうり

夜蕎麦売り
駆け落ちものに
二つ売り


かけおちと
見えてよいかほ
たゞ二人リ

駆け落ちと
見えてよい顔
たゞ二人リ


心中は
ほめてやるのが
くどくなり

心中は
褒めてやるのが
功徳なり


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どつしりと おいてからいふ 臼のれい…『畫本柳樽』初編

2020年04月26日 | 川柳

どつしりと
おいてからいふ
臼のれい

どつしりと
置いてから言う
(借りた)臼の礼


はちまきで
女房へねがふ
むかひ酒

鉢巻きで
女房へ願う
迎酒


このいへで
うまれた内儀
まけて居ず

この家で
生まれた内儀
(入り婿に)負けて居ず


にくいほど
ていしゆの義理を
いひすぎる

憎いほど
亭主の義理を
言い過ぎる


ないやつの
くせにかゞミを
でつかくし

無い奴の
くせに鏡餅を
でつかくし


餅ハつく
これからうそを
つくバかり

餅は搗く
これから(借金取りに)うそを
つくばかり


礼もせぬ
くせにやぶいの
なんのかの

礼もせぬ
くせに「藪医の
なんのかの」言い


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