matta

街の散歩…ひとりあるき

『畫本柳樽』10-かゝり人むすこにけんを指南する…

2023年08月31日 | 川柳

かゝり人
むすこに
けんを
指南する

掛り人息子に拳を指南する

掛り人(かかりゅうど):居候、他人の世話になって生活している人
拳:宴席でのゲーム。指の形で数を決め、二人の出した指の数を当てたり
ジャンケンで負けた方が脱いでいくなど。

けんの
こゑ
となりやしきで
あはう
やイ

拳の聲となり屋敷で阿呆やい
何をくだらんことやっている、阿呆やい、か。

夜やさふき
ころもや
うすき
食客

夜や寒き衣や薄き居候

むかふから
すゞりを
つかふ
かゝり人

向こうから硯を使う掛り人
對面から遠慮しいしい硯を使わせてもらう居候

ゐさふ
らふ
寝ごとに
いふが
ほんの
こと

居候寝言に言うが本(本音)のこと
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『畫本柳樽』09-寝ふたがる子を出づかひに… 

2023年08月30日 | 川柳

寝ふたがる
子を
出づかひに
つかふなり

眠たがる子を出遣いに使うなり

出遣い:文楽で人形のかしらと右手を操る人を主遣いといい、
主遣いが顔を出して遣うことを「出遣い」という。主遣いは
紋付きと袴を着けて舞台に出る。
で、眠たがる子を紋付き袴を着せて「出遣いに使う」とは
晴れの七五三の準備をしているのか…

口がるで
しりの
おもいハ
食客

口軽で尻の重いは居候

ごふく屋の
かよひ
山師の
うちに
かけ

呉服屋の通い山師の家に掛け
通い:通い帳、掛け買い、いわば信用取引張。
山師は見せかけに、呉服屋の通い帳を家に掛け…

ゐさふらう
はら
はり
たやと
おかん
きん

居候はらはりたやとお看径
看経(かんきん):経文を黙読すること。
光明真言宗の加持:…はんどま じんばら はらばりたや うん



目をさまし
でつちもぐさを
はらひのけ

目を覚まし丁稚艾(モグサ)を払いのけ
モグサ:お灸の艾
居眠りの丁稚にお灸の艾で悪戯

目と
はなハ
たゞだが
口ハ
銭がいり

目と鼻はただだが口は銭がいり

ゑひ
さめに
どひんの
ふたが
はなへ
おち

酔い覚めに土瓶の葢が鼻へ落ち

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『畫本柳樽』08-ゆびぬきハにぎつた人の…

2023年08月29日 | 川柳

ゆび
ぬきは
にぎつた
人の
手にのこり

指貫は握った人の手の残り

くどくやつ
あたり
見い見い
そばへ
より

口説く奴あたり見い見いそばへより

かし本や
むひつに
かすも
もつている

貸本屋無筆に貸すも持っている
無筆:読み書きができない
無筆の人に貸す本、絵本や春画本。

くどかれて
かほへふり袖
よこにあて

口説かれて顔へ振袖横にあて

あたり
見まハはし
画のとこを
むすめ
あけ

辺り見回し画の所を娘あけ

あねさんの
すけだちて
よむ
かたき
うち

姉さんの助太刀で読む敵討ち
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『畫本柳樽』07-八景を六ツにたゝむ… 8/25

2023年08月28日 | 川柳

八景を
六ツに
たゝむ
屏風
の画

八景を六つに畳む屏風の画

ころ
んで
立きゝをする
ろくろ
くび

寝ころんで立ち聞きをするろくろ首

首が長くて見つかってしまい、
寝ころばないと立ち聞きができない。
「寝ころび」聞きか…

『北斎漫画』十二編

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『畫本柳樽』06-渡辺綱vs茨城童子

2023年08月27日 | 川柳

綱がおば
ゆもじハれいの
とらの
かハ

綱が伯母湯文字は例の虎の皮

渡辺綱は茨城童子の片腕を斬りとり保管していたが、
伯母に化けた茨城童子にうまいこと取り返されてしまった。
伯母に化けたとはいえ、湯文字(腰巻)は虎の毛皮だったのだろうナ。
茨城童子は酒吞童子の一番弟子。

いばら木も
足だと
アゝは
にげられず

茨木も足だとあゝも逃げられず。
茨木童子、足を斬られていたらああも逃げられず。

口ぢかの
化もので
まづ
ひとつ
けし

口近い化物(話)でまず一つ消し
口近い:身近な、ありふれた
ひとつけし:100本の蝋燭のうち一本消し、
100の怪談を終えたらまっ暗になって化け物が…

百はなす
うち
ばけものは
まつて
居る

百話すうち化け物は待っている

あゝもにる
ものかと
つなは
くやしがり

ああも伯母に似るものかと綱は悔しがり

渡邉綱vs茨木童子『北斎漫画』四編
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