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街の散歩…ひとりあるき

衣がハさひ槌ばかり流れけり…『畫本柳樽』十編 

2020年08月31日 | 川柳

■衣がハさひ槌ばかり流れけり
 衣川才槌ばかり流れけり

弁慶、負けて川に流れたは七つ道具のうち木製は木槌だけだった、と。
が、この「衣川」は川ではなく衣川館という館ではなかったか。
文治5年閏4月30日(1189年6月15日)、義経主従は、
藤原泰衡の襲撃を受け(衣川の戦)、現在の岩手県西磐井郡平泉町の
衣川館にて弁慶らとともに最後をとげたという。
衣川館を川に掛けたものか。

■はしのうへわらじと足だいどミあひ
 橋の上草鞋と足駄挑み合い

京の五条の橋の上、牛若足駄で弁慶は草鞋(わらじ)

■つゝしみのよいわ弁けひ小まちなり
 慎みの良いは弁慶小町なり

男女関係に慎み深かった弁慶、小野小町なり…

(読みほか参考...『画本柳樽全十編』江戸川川柳研究会)

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表紙と見返し、序…川柳『畫本柳樽』十編

2020年08月30日 | 川柳

川柳『畫本柳樽』十編
すでに一編と五編を終えている。こんどは最後の十編を見る。

表紙■
駿馬(ときうま)の
飛如
 う(売)れる
柳樽
千里
 万りも
走る
(え)艸紙
十編


見返■
○葛飾米華老人載斗先生(北斎門人)
○乗宇(?)ひんといな啼け
○画本柳樽 十編
○栗毛もぶち茂いさむ春故満(駒か)
○書林      三史堂寿梓


家内喜多留十編序■
早(はや)川柳も十巻に至り、笑の種も歳月経ぬるに、つきぬ
大土海(だいとかひ)当る丙午(ひのえうま)の春、艸木(くさき)だも(でさえ)喰(はむ)くらべ(競)馬、どんどん
当たる初午太鼓馬鹿はやし(囃子)、似口(言葉遊び、川柳)灯篭ハ生捕に成類(なる)
柳樽ひんと反込(はねこむ)筆のさへ、大どうらふハ近江の金め(※傀儡女金子)か馬の
蹄を踏止(ふみとどむ)姿を描く、関羽乗め赤兎馬(呂布の馬)、輝威風(いふうかがやく)三
国に高英雄(えいゆうたかし)、小栗は何あう鬼かけ(暴れ馬)も、青馬ヂヤヂヤ馬
野路宇満茂(野次馬も)何に亭も御坐れ上手の掌綱(たづな)に引かれ、篠駿(たけうま)
に乗若児茂竹鞭打亭(のるわこたちもたけむちうちて)魁(さきがけ)し、文廓(ふみや)の門辺(かど)に市を
なし、達満農絵双紙篤見勢(だるまのえぞうしとくみせ)て呉いくれいと余念なふ
軒に湊(つと)うて賑々し、書家(ふみや)得たりと遂拝受(はいじゅとげ)を、弥増当(いやましあたる)
に雀踊し、得意旦那ハ若君方(わこたちがた)、売始発(うりそめはっ)たの柳多留、□
に満(ま)か勢(せ)て腹太鼓宇(はらだいこう)って、丙の午(うまの)春御登(おと)し玉と爾(しかいう)
東辺僕                         雲国斎光観述

参考※傀儡女金子

近江国貝津の里 傀儡(くぐつめ)女金子が力量●『北斎漫画』九編…当ブログ2018/07/25

近頃近江国かいづに、金といふ遊女ありけり、
その所のさたの者なりける法師の妻にて、年ごろすみけるに、
件の法師、又あらぬ君に心をうつして通いを、
金漏れ聞きて安からず思ひけり、ある夜合宿したりけるに、
法師何心もなくて、例のやうにかのことくはだてんとて、
またにはさまりたりけるを、そのよわごしをつよくはさみてけり、
しばし戯れかと思ひて「はづせはづせ」といひければ、
なほはさみつめて「わが法師めが、人あなづりして人こそあらめ、
おもてをならべたるものに心うつして、ねたき目見けるに、
物ならはかさん」といひて、ただしめにしめまさりければ、
既に泡をふきて死なんとしけり。その時はづしぬ。
法師はくだくだと絶え入りて、僅かに息ばかりかよいける。
水吹きなどして、一時ばかりありて生きあがりにけり、

かかりける程に、そのころ、東国の武士、
大番にて上京すとて、このかいづに、日たかく宿しけり、
馬ども湖に引き入れてひやしけるその中に竹の棹さしたる馬のすずしげなるが、
物に驚きて走りまひける。人のあまた取りつきて、
引きとどめけれども、物ともせず引きかなぐりて走りけるに。
この遊女行きあひぬ、少しも驚きたることもなくて、
高きあしだをはきけるに、前をはしる馬のさし縄のさきを、
むずふまへけり、ふまへられて、かひこづみて、やすやすと留まりにけり。
人々目を驚かすことかぎりなし。
そのあしだ砂に深く入りて、足くびまでうづまれにけり、
それよりこの金、大力の聞こえありて人おぢあへりける、
みづからいひけるは「わらはをばいかなる男といふとも、
五六人してはえしたがえじ」と自称しける。
ある時は手をさし出して、五つの指ごとに弓をはらせけり、
五張を一度にはらせける、指ばかりの力かくのごとし、
誠におびただしかりけるなり。

            (『古今著聞集』巻第十 相撲強力より抄出)


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吉原の終年…『絵本隅田川 両岸一覧』 

2020年08月29日 | 絵画・彫刻

吉原の終年(しゅうねん…一年を経た歳の暮)

 京 寿ののふ子
たをやめ(手弱女)
めて(で)たく
越る
年の
夜に
かしくと(「かしこ」と)
いけ(生け)
梅の
一とえた(枝)

太神楽
笛や
太鼓の
音を
そえて
豆まく
声の
よしはらの

 壺山楼髙喜
※豆まく:現在の節分は、旧暦でいえば正月節にあたる

以上で『絵本隅田川 両岸一覧』を終了。
明日からは『畫本柳樽』十編を見ていきます。

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山谷の田家…『絵本隅田川 両岸一覧』 

2020年08月28日 | 絵画・彫刻

山谷の田家

はや春へ
ひとまたき(ぎ)
なる
大鳥居
しり
くめ縄の
見ゆる
神垣
 京 一瀬亭平丸
※しりくめ縄:注連縄しめなわ

春を知る
山谷の
(せん)
梅こよみ
雪に
封して
置とし(おく 歳)
のくれ
 壺琴楼道成
※賤(せん):卑しみ、見下げ

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真崎の神燈 木母寺の鉦鼓…『絵本隅田川 両岸一覧』 

2020年08月27日 | 絵画・彫刻

真崎の神燈
木母寺(もくぼじ)の鉦鼓(しょうこ)
※木母寺:墨田区堤通二丁目

小夜
しくれ
ふりさけ
見れは
神垣を
ほのかに
もれる
みつの
ともし火
 和哥浦汐
※みつのともし火
 むば玉の 暗き闇路に 迷うなり 我にかさなむ 三つのともしび
                       後醍醐天皇

音も氷る
(ば)かりに
けふは
すミた川
雪に
うつ(埋)ミし
木母寺のかね(鉦)
 遊友館春道

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