まぼろしの花々

LeicaM8.2/summilux 50mm

東京では年にいち二度
しか見られない
低木の雪化粧

綿毛の花ならぬ
北風が送り込んだ
雪の花

明日には消えてしまう
まぼろしの花々

夕べに
低温をむかえるなら
翌日はもっと
凍えて透明な
花々がみられるのに
…消えてしまった

子々孫々ダイダイ

LeicaM8.2/summilux 50mm

春・夏・秋・冬、
酷暑であろうと、雪がのろうと、
いつでも緑の葉っぱのなかに、
鎮座ましますオレンジの球、
ダイダイ。

常緑樹の葉っぱとおなじように、
このダイダイもつねに、
入れ代わっているのだろうか。
子々孫々…
入れ代わり立ち替わり、
連続的につながっていく。

橙色のダイダイ。
果皮にペクチンが豊富。
ママレードの原料だという。
乾燥させて煎じて飲み、
風邪に効くのだそうな。

ガマズミの実いっぱい

LeicaM8.2/summilux 50mm

葉っぱの間から赤い実を、
のぞかせはじめたのが、
初秋だった。

以来、
大きな葉っぱが、
紫色に変色し、
枯れ、
落葉してもなおも、
まっ赤な実が残った。

そして歳がかわり、
ほかの樹々の実が
落ちてしまっても、
なおも寒空に、
こんなにいっぱい。

まっ赤な実が、
まだがんばっている。

厳寒の空にシナマンサク

LeicaM8.2/summilux 50mm

秋に、
ながいことまっ黄色に、
かがやいていたシナマンサク。
おおきな葉っぱだけに、
いっそう目だった。

黄葉がおわっても、
なおも、
枯れた大きな葉っぱが、
枝にはりつき続けた。

そしていま、また、
鉛筆の、
けずりかすのような、
黄色く細い花が、
厳寒の空を、
うかがいはじめた。

迷子のウサギ

LeicaM8.2/summilux 50mm

街路樹の枝にウサギさん。
1月24日、雪の日だった。

一橋から白山通りを神保町にむかう道筋だ。
近所の学校に通う女生徒が落としたのかな…。

舗道にみつけたひとが見過ごすのにしのびなく、
落とし主の目につくよう樹の枝につけたのだろう。
うまいこと背中にテープ。
ピンクの鼻に耳、ニンジンをもって。

持ち主が気づいてくれるといいね。
あるいは、すでにもうもどっているのかも…。