SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

BETTY BLAKE 「in a tender mood」

2007年09月04日 | Vocal

こういうアルバムを買うときはだいたいワンパターンの行動になる。
まずジャケットを見る。ベティ・ブレイク、どこかで彼女の歌を聴いた気はするが顔を見ても思い出せない。しかしこの歌う表情を見てちょっといいかなと思う。「in a tender mood」というタイトルも単純だが気に入った。なぜ、といわれてもうまく説明できないが、何となくアルバム全体の雰囲気が伝わってくるような気がしたのだ。
次にジャケットをひっくり返して収録されている曲を確認する。まずよく見るとアレック・ワイルダーの曲が6曲も入っている。アレック・ワイルダーといえばフランク・シナトラやメル・トーメ、ジャッキー&ロイなどの歌でよく知られている。中でも目を引いたのが「MOON AND SAND」。この曲はチェット・ベイカーの名唱で有名だ。これでかなり食指が動く。
さらにバックの布陣を見てみる。ズート・シムズやマル・ウオルドロン、ケニー・バレル、チャーリー・バーシップなんかも参加している。ベツレヘム盤だから何も不思議ではないが、どうやらテディ・チャールズがプロデュースしているようだ。
テディ・チャールズはヴァイヴ奏者として演奏にも参加しているが、マル・ウオルドロンの大人気盤「Left Alone」を作るきっかけを作ったのがこの人だ。他に若き日のマイルス・デイヴィスやリー・コニッツらとも共演を重ねたベテランである。
これまでの行動ではこのアルバムをどうしてもほしいというところまではいかないが、後は半分賭である。この方法で失敗したケースもかなりあるが、このアルバムは期待を裏切らなかった。

ジャケットを見る限りもっと華奢なヴォーカルかと思えばベティ・ブレイクの歌声は堂々たるものだった。
さて問題の「MOON AND SAND」を彼女はどう歌うか、わくわくしながら聴いた。チャーリー・バーシップがチコ・ハミルトンのようなドラムを叩き、ケニー・バレルのギターがスパイスになっている。その中で彼女は怪しさを湛えたムードたっぷりに歌い出す。短い曲ながら印象に残る出来映えだ。
全体の雰囲気はというとクリス・コナーのアルバムを連想させる作品だ。この当時のベツレヘムの女性ヴォーカル盤はクリス・コナーが基準だったのだ。これはたぶん間違いない話だろう。
アルバムはもちろんモノラル。しかしこれが意外といい録音だ。モノラルにはモノラルの魅力があると思う。特にヴォーカルはその良さが顕著に出る。
大切なのは音の色艶なのだ。この作品の音は充分に艶っぽい。


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