SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

JOANIE SOMMERS 「SOFTLY, THE BRAZILIAN SOUND」

2009年04月13日 | Vocal

ボサノヴァの季節がやってきた。
前にも似たようなことを書いたが、ボサノヴァが似合う季節は絶対に4月~5月だと思う。
夏になる一歩手前、暖房も冷房もいらない時期ということだ。
部屋中の窓を開け放つとさわやかな風が通り抜ける。そんな風に乗って、アコースティックギターやマラカスの音色が行ったり来たりするのが快感なのである。

ボサノヴァを歌う女性歌手といえば、何といってもアストラッド・ジルベルトが最初に思い浮かぶのだが、このジェニー・ソマーズの歌声もたいへんすばらしい。
何がいいかって、まず声質がチャーミングだし、歌い方にも妙なクセがなく実に素直だ。
大体にしてボサノヴァはいかに自然体であるかが重要なのだ。だってやさしい風に乗らなければいけないからである。
声にやたらと強弱があったり清濁があったりしたら、さわやかな風と同化できない。このへんがボサノヴァを歌う上での微妙なテクニックになるのではないだろうか。
その点においてアストラッド・ジルベルトとジェニー・ソマーズは共通点が多い。

このアルバムがいいのは、ジャケットにもあるように本場ブラジルの名手、ローリンド・アルメイダが全面協力しているからでもある。
彼のギターはどの曲でも控え目にムードを盛り上げてくれる。
ナイロン弦を指で弾く音が常に一定のリズムをつくり出し、そこにストリングスが絡んでくると、ものすごくシンプルな世界であるにもかかわらず、様々な感情が沸き上がってくるのを実感できる。
これがボサノヴァの素敵なところなのだと思う。


一昨日近くの高原の芝生に寝ころんで思いっきり新鮮な空気を吸った。
辺りはまだ雪が残る場所ではあったが、風は暖かく、少しも寒さを感じなかった。
まさにこのジェニー・ソマーズの歌声のような風だった。



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