SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CARLO UBOLDI 「Free Flight」

2007年11月18日 | Piano/keyboard

最近とても気に入っているピアノトリオをご紹介しよう。
イタリアのカルロ・ウボルディの作品だ。録音は2006年10月6日とクレジットされているから、まだ発売になって1年そこそこのアルバムである。
1曲目のタイトルはなんと「WELCOME TO NIPPON」。
タイトルだけを見たらあまり聴きたくないイメージに映ってしまうが、この曲が哀愁を帯びていて実にいいのだ。
冒頭から哀しみをこらえたような切なくも美しいテーマが止めどなく流れていく。
これはカルロ・ウボルディのオリジナル曲だ。
彼にとってはこんな旋律が日本という国のイメージなのだろうか。確かにウェットな感じは的を射ているような気もするが、これではいくら何でもちょっと寂しすぎるような気もする。日本人としては嬉しいような悲しいような複雑な心境だ。但しこれが日本の美しさだよといわれればたぶん納得してしまうだろう。
2曲目は有名な「BESAME MUCHO」。
この曲ももともと哀愁を帯びた曲ではあるが、どことなく1曲目のイメージがそのまま持ち越されてきているようで、スペインの曲であるにもかかわらず日本的な美しさを感じてしまう。これまでこんなBESAME MUCHOを聴いたことがない。これも名演の一つだと思う。
この後もいい曲がずらりと並んでいる。
8曲中、2曲でMAURO NEGRIがクラリネットとアルトサックスで参加しているが、それによって全体のムードはより一層寂しさや切なさを増幅させていく。唯一「THIS CAN'T BE LOVE」だけが明るさを保っているが、それも不自然には感じられない。
ラストの「WORLD HYMN」も感動的な曲に仕上がっており、いつまでもその余韻を楽しめる。

それとこのアルバムで特筆したいのが録音の良さである。
ベースの音が深くズーンと響いてくる。これは快感だ。
もっともっといいオーディオ装置がほしくなってくる。ジャズの音はこうでなくてはいけない。