SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CAL TJADER 「jazz at the blackhawk」

2007年11月10日 | Violin/Vibes/Harp

カル・ジェイダーといえばラテン・ジャズというのが通り相場だ。
しかしここで取り上げる「jazz at the blackhawk」は彼初期の作品ということもあってか、純粋なハードバップ(クールジャズ?)の演奏になっている。
しかもこれはライヴという臨場感がうまく出ており、私のお気に入りの作品だ。
彼のヴァイブ(ヴィブラフォン)はミルト・ジャクソンのそれよりも肩肘張った感じがなくて好きだ。ミルト・ジャクソンのバックボーンは重苦しいブルースであるが、カル・ジェイダーのバックボーンは陽気なラテンということだからということかもしれない。もちろん彼がミルト・ジャクソンよりも優れているなどというつもりはさらさらないが、ジェイダーのヴァイブはどことなくユーモラスですんなりと心の中に入ってくるのである。
バック陣もなかなかいい。
特にヴィンス・ガラルディのピアノは秀逸だ。彼の弾くピアノはいつになく感傷的であり、控え目ながら全体のムードを牽引しているように思う。もともとこのガラルディもラテンをバックボーンに持った人なのでジェイダーと相性がいいのだろう。二人の息がぴったり合っている。
またジーン・ライトのベースも強力に響いてくるところが嬉しい。

それにしてもヴァイブはおしゃれな楽器だと思う。
マレットで鍵盤を叩いてポーンと響くと、よどんだ空気が一気に浄化していくような感覚になれるからである。
そういえばおしゃれなインテリアショップやレストランなどでよくミルト・ジャクソンやカル・ジェイダーの演奏を耳にする。耳障りが良く、清涼感があるためだろう。だから私は自宅に人を招いたりするときには、こうした人たちの音楽をBGMとしてかけることが多い。
これからジャズを聴こうという人たちにもヴァイブはお勧めの楽器だ。数あるヴァイブの中でもこの作品は私のイチオシである。このアルバムの中ではラストの「Lover, Come Back to Me」が最高!