テレビドラマ化もされている「杉村三郎シリーズ」の最新作です。
一作目の『誰か』を読んだ時、宮部さんは人間の「罪悪」を腑分けしようとしているのだと思いました。
市井の人たちの心の奥に潜む「悪意」。
誰の中にも取り返しのつかない「過ち」を犯す可能性が潜んでいるという事実に、身が震えました。
続くシリーズでも一見幸福そうな家庭を持つ杉村氏の鬱屈が物語に陰影を与えていたのですが、前作『ペテロの葬列』でその鬱屈が思いがけない結末に繋がり、その後の展開がとても気になっていました。
本作は『ペテロの葬列』のあと、私立探偵になった杉村三郎が関わった事件を集めた短編集です。
どれも懸命に生きていながら深い闇に落ちこんでしまった人たちの悲哀を痛切に感じる物語でした。最後の「二重身(ドッペルゲンガー)」は東北の震災が重要なファクターとして使われているのですが、あの悲しい出来事と事件との関わり方がどうにもやりきれなかったです。
幸いにも私自身はこうした哀しみと向きあわずに生活しています。
人々の痛みを見つめ続けている宮部さんは強い人ですね。
凄いなと思います。
「湊かなえ」や「桐野夏生」も好きでよく読みました。
もっとも好きなのは「向田邦子」でした。
日常の、誰の心にもあるような心理を、言い表しているところがすごいと思います。
また読んでみたいと思いました。
コメントありがとうございます^^
私も湊かなえさんや桐野夏生さん好きですよ。
そして向田邦子さんは私も大好きです。一番は「あ・うん」かな。
もともとはシナリオですが、フランキー堺さんのドラマは素晴らしかったです