グランフロント前の特設スケート場。
暗闇の話を書いているうちに思い出した「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を本日はご紹介したいと思います。
(ちなみに写真とは全く関係ありません)
1988年にドイツで、哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれた「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、文字通り暗闇のなかで目からの情報を遮断して、それ以外の五感で世界を味わうイベントです。これまで、全世界32カ国、130都市以上で開催され、2015年現在で800万人を超える人々が体験したそうです。
日本では東京の外苑前会場と、グランフロント大阪にある「対話のある家」を中心に開催されています。
時空広場。
私が体験したのは5年ほど前でしょうか。その頃はまだ外苑前会場はなくて広尾の廃校での開催だったと記憶します。
数名のグループ単位で、アテンド(視覚障害者)の指示に従って行動します。
事前にインストラクションがあり、アテンドが上手に案内してくれるので問題はないのですが、視界を奪われるのは想像以上に緊張を強いられます。
それが、進むうちに目以外の五感がどんどん研ぎ澄まされていって、柔らかい草の感触やかぐわしいリンゴの香り、ブランコに乗って風に吹かれたりすることが、ものすごく新鮮な体験になっていきます。輪郭がくっきりと浮かび上がってくるというのでしょうか。そのうち距離感が掴めて人の気配に敏感になり、自由に動けるようになります。もちろん、アテンドの方の自在さにはかなわないんですけれども。暗闇こそがアテンドの方たちの暮らしている世界なので、羨ましいくらいにのびのびと行動なさるのです。当たり前と言えばそうですが、身近に接すると驚嘆します。
印象に残っているのは、一緒にいた友人が私の「手に触れた」こと。
暗闇を移動しているので、ふつうに考えれば声を発さない限り、そばに誰かいるなんて気づくはずないのですが、その時は、触れられた瞬間、その手が友人のものだと即座にわかりました。それだけではありません。触れるか触れないかの瞬間、彼女の茶目っ気やいたずら心、つまり彼女の心の動き、気配をはっきりと感じたのです。これは不思議な経験でした。後から聞いたら、友人も、私が傍にいるのが「わかった」から触ったと言っていました。全盲の方が、壁に触れる前にその存在を感じて止まったりなさいますよね。人間の持っている感覚というのは本来、それほどに繊細で鋭いものなんですね。
暗闇の中を1時間近くも移動していると、連帯感や親近感も生まれてきます。言葉も交わすほどになったのに、明るい場所に戻ったとたん、絆がぷつりと切れて元の他人に戻ってしまったのも面白かったです。光と闇は、まったく違う世界なのです。
光の海。
その後、友人と食事をとり、地下鉄へ向かう途中にイベントを終えたアテンドの方たちが汽車ごっこのように互いの腰を持って、縦に連なって歩いているのを目撃しました。見えない目で安全に歩くためのその知恵と統制のとれた動きに見とれたのを覚えています。
雪だるまカップル。
現在大阪の会場では
「誰かの幸せを願う真っ暗の中のクリスマス」
というタイトルで開催中です。
以上、暗闇の中の光を見ての思い出話でございました。
闇は人間を哲学者にします
興味ある方はぜひどうぞ。
あれから街でサクサク歩いてる視覚障害の方を見かけると、ハラハラするのと同時にひたすら尊敬してしまいます。
読んでたらちょっと泣きそうになりましたU+1F63F
衝撃&感動体験だったよね。
それにしても、ブラットさんの記憶力スゴイわ~U+2757U+FE0F
コメントありがとう
そしてブログ読んでくれててありがとう
頭ではなく身体で感じたことの記憶つうのは鮮明なもんですよ。
ほんと、凄い経験だったよね
そして楽しかった~。
また一緒にどこか楽しい所いこうね!