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シモバシラ・2~開花

 今日は二十四節気の“霜降”。露が冷気によって霜になる頃で、確かに日没は早くなり朝晩はずいぶん冷え込んできた。次の節気はいよいよ“立冬(11/7)”になる。
 写真はシソ科シモバシラ属の「シモバシラ(霜柱)」。その名前は花の姿ではなく、真冬の枯れた茎に氷柱ができることから付けられている。花期は9~10月で、長さ10~15センチの総状花序に直径5~6ミリの小花をたくさん付ける。
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ボントクタデ・1~長沼公園

 直木賞作家/青山文平氏(2015年『つまをめとらば』で第154回直木賞受賞)の時代小説『半席』(新潮文庫)が面白い。
 若き徒目付の片岡直人に、先輩の徒目付組頭から、附に落ちぬ数々の事件の真相探りの仕事が持ち掛けられる。直人の家格は旗本とはいえ“半席”。父と同じく“一代御目見”であり、このまま2つ以上の御役目につかず息子に代替わりすれば、元の御家人に戻される。何とか出世して新しい御役目につき、正式な旗本、つまり“永々御目見以上”になることを願っている。片手間に事件の真相探りなどやっている暇など無いのだが、ひとつふたつ事件を解決していくうちに、次第にその仕事にのめりこんでいく。
 直人が徐々に自分の心に素直になっていく姿がとても好ましいのだが、それに加え、居酒屋や屋台で出される酒の肴の紹介がなかなか興味深い。『蓼を食う』の章では旬の青柳と蓼酢が出てくる。屋台の店主と直人のやり取りを少し紹介すると

『それより青柳はどうする 造るか』
『むろん頼む 酒も熱燗でくれ!』
『青柳は蓼酢だが よいか』
『夕前からずっと青柳を喰いたいと思っていた』
『好物か』
『ことさらに好むというわけではないが 旬であろう』
『青柳も旬ではあるが・・ それがしが青柳の蓼酢で楽しんでもらいたいのは 蓼のほうだ』
『蓼・・』
『蓼も今が旬なのだ 春のほかは 塩に漬けた塩蓼を水で戻して 塩抜きをしてから蓼酢に使う 生の香り高い蓼酢を味わえるのは今だけだ』

 美味しそうな青柳が目に浮かんでくるが、私もこんな蓼酢で青柳を食べてみたい。
 写真は長沼公園“柿の木谷戸”で見つけた「ボントクタデ(凡篤蓼)」。タデ科イヌタデ属の一年草で水辺に生育する。この日は残念ながら開いた花を見つけられなかったので、記録として撮っておいた。草丈は50~60センチで淡紅色の小さな花を疎らに付ける。同じ仲間のヤナギタデ(柳蓼)の葉には辛みがあり香辛料として使われるが、この葉には辛みが無く役に立たないので“凡篤(=とりえが無い、愚かな)”の名前を付けられている。
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