TASTING CUBE

Wine by your side…我が家は毎晩がワインサロン。最近のマイブームはBOX WINEです。

エコール・ド・パリと日本の画家たち、シェフたち

2007-01-14 00:18:54 | ワイン育
埼玉県立近代美術館でいま開催されているのが、「巴里憧憬-エコール・ド・パリと日本の画家たち」という企画展。
モディリアーニの最充実期の傑作3点をはじめ、パスキン、キスリング、ス-チン、シャガールなど、エコール・ド・パリを代表する画家たちの作品、さらにユトリロ、ローランサンらの作品が展示されている。
加えて、エコール・ド・パリ最盛期のパリで活躍した日本人画家たちの作品がたっぷり見れるということで、訪館してきた。最近、彼らがちょっぴりマイブームなのだ。


そもそもエコール・ド・パリ(パリ派)とは、第一次大戦後から1930年代にかけて、「花の都・パリ」に、世界各国から集まった、繚乱たる個性を開花させた芸術家群のこと。

日本からも、この時代にたくさんの日本人画家、芸術家がパリへ渡った。
多いときで留学生も含め、500人?もの日本人が渡巴里してたんだって・・・スゴイ。

エコール・ド・パリの画家として最もよく知られている日本人は、藤田嗣治(レオナール・フジタ)。そのほかに海老原喜之助、高野三三男、斎藤豊作、金子光晴など・・・。
彼らのうちのちに名が知れることになった何人かは、貧乏画家というより、旧家の育ちだったりとか、わりとリッチな背景があったりするのもおもしろい。


彼らのなかには先輩、後輩はあれど、ヨコのつながりもあったようだ。お互い励ましあいながら、同時期にパリで触発され、情熱と苦悩の日々をともにしたのだろう。



で、話はワープして、現代は東京へ。

先日ちょっとしたオシゴトで訪れたのは、とあるフレンチのお店。

1530時ころ、ランチのお客様が引ける時間にシェフに会いに伺った。
店内にはまだお客様が数組いらっしゃったけど、テーブルに通して下さった。仕事で訪問しても、忙しいのにちゃんと案内して下さる、そんなスタッフのいるお店はホンモノだといつも感心してしまう。

話の途中で、ときおり厨房に調理に戻るシェフ。と、突然私の目の前に来て、「これ、嗅いで。」と無造作に紙に包まれた塊を差し出す。??、しっとりした表面、薄灰色で、百合根みいな塊・・・。目を閉じて鼻から空気を吸い込むと、うわ、香ばしい。野生の香り。「トリュフ!」答えると、「正解、これ56万円。」と言い捨てて足早に厨房へもどる。
ホントにごっつくて、たくましくて、薫り高い白トリュフだった。
そして気さくで、食を追求しつづける頼もしいシェフ。とっても魅力的な人間だ。


そんなステキなシェフたちと接していると気づくのは、彼らもパリでヨコのつながりを持っているということ。
あるお店で偶然、他店のシェフの旧友だと聞くと、また違うお店で、「あのシェフとは一時期パリで部屋を一緒に借りてた」とか・・・。
いくつかそんな話が重なるのをきくと、びっくりする。

いまこそ、東京の一等地でシェフオーナーとして活躍していても、彼らには欠かすことの出来ない「パリ修行時代」があるのだ。
ある時期に食の都、パリへ向かい、そこで同時期にパリで触発され、情熱と苦悩の日々をともにした・・・。
これって、まさにシェフ版「エコール・ド・パリ」。

いま、東京には美味しいものが集まっているけれど、彼らが確実にそれを支えている。
まさに食の芸術家たち、である。