大学の入学式・卒業式で君が代を演奏する,この件について少々騒いだ人達がいた。外部の投書をきっかけに,今度から演奏するように学長が決めたらしいのだが,何十年も演奏されていないのは,それなりの理由があるからで,どうして投書一つで決定なのか,という公開質問がされた。
どうなるのかな,と行方を見守っていたのだが,その回答を今のところ見る機会を得ていない。
先日のバンクーバー・オリンピックではカナダ国歌を少女がジャズ風にアレンジした物を歌っていた。日本では君が代をジャズ風にアレンジしたとの咎で懲戒免職になった教師がいた。演奏しても問題,演奏しなくても問題,国歌とは難しいものである。
ジャズ風にするのが悪いのならドイツ風にするのも悪いのではないだろうか。井財野としては,この点が大いにひっかかる。
ところで,「君が代」は何調でしょう?
「白鳥」・・・いい線いってます。
「名誉会長」・・・当たらずとも遠からず。
「駄洒落快調」・・・笑ってる場合です。
答え「壱越(いちこつ)調」
律音階という言い方もできるが,もともと雅楽の旋法である。ニ調でもハ調でもない。この旋律は日本以外の何ものでも無い。近隣諸国の国歌のほとんどが,ヨーロッパ音楽を基盤に,その国の味付けをしているだけ,というのに比べると,堂々たる出来。日本の誇りであろう。
それにエッケルトというドイツ人が和声付けしたものが,今一般的に普及している君が代である。半音階あり偽終止あり,どう見てもドイツ風。それで処理できなかった最初と最後はユニゾンでごまかしている。こんなんでええの?
これを唱えたのは井財野が初めてではない。坊田寿真の「日本旋律と和声」にその主旨のことが書いてあり,それに賛同しているに過ぎない。
日本旋律と和声 (1966年)
価格:¥ 452(税込)
発売日:1966
一方エッケルトは
[きみがよ]の部分に複雑な音を入れることは、声は和しても何となく面白くない。日本の国体にあわぬような気がする。それゆえ[きみがよは]の発声にはわざと和声をつけぬことにした。と言ってのけたらしいから,物は言い様だ。
日本と西洋が見事に融合している,と積極的に賛辞を送る方もいらっしゃるので,あまりムキになるのは止めよう。
ただ,演奏を問題にするなら,この点を問題にしてほしいと,音楽屋さんは思う。音楽大事典によると,当初は雅楽調の譜面が作られたのだが,行方不明になったとある。それが普及すれば,問題は減るのに,と思っていたら,21世紀はすごい,インターネット上では,その雅楽の譜面が公開されていた!(「第ニの君が代について」を参照されたし)
これを演奏すれば,とても意義のある国歌演奏になるだろう。
と思っていたら,今日,どこかの教室からエッケルト版の君が代を練習しているのが聞こえてきた。あ,演奏するんだ。でも,平凡な結果にちょっとがっくりだった。
三つの君が代―日本人の音と心の深層 (中公文庫)
価格:¥ 740(税込)
発売日:1999-08
君が代のテクストが問題だから,ということで異を唱える方もいらっしゃるが,それに関してはまた今度。
今日はエイプリル・フール。どこまで本当でしょう?
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