通称「アベノマスク」が届いた。最初こそ不評だったが、真似する国が出てきて、不評は「茶化し」に変わったように思う。
しかし、私は何だかニコニコしてしまう。
というのも、ありがたい歌のおかげだ。
音楽仲間から伝わってきた替え歌だが、オチのセンスが素晴らしい。爆笑もの、しかもオチが何度もある。
これが爆笑なのは、演奏が一流だからだ。とにかくうまい。
ピアノも歌も、本格派なだけに、そのギャップが笑いを誘う。
調べてみると、東京芸大の楽理科と声楽科の卒業生で同学年のようだ。
それを知ると、いろいろ思うところは複雑だが、とにかく私を楽しくさせてくれることに感謝だ。
そして、動画のコメントで、貴重な歴史を知った。
R.シュトラウスの《イタリアから》に、この原曲《フニクリ・フニクラ》が引用されていて、シュトラウスは「これがイタリア民謡だと思っていた」と、どの解説にも書いてある。
が、続きがあるそうで、よってシュトラウスは原作者のデンツァに巨額の著作権料を払ったそうだ。
そうだったのか、とまだ続きがある。
というのは、シュトラウスは著作権料にやたら御執心の作曲家だったからだ。ここで痛い目にあっていた訳ね、なるほど。
それに、(デンツァのほかの曲は全く知らないけど、)この《フニクリ・フニクラ》は超名曲だ。
私は【魅惑の9小節フレーズ】と呼んでいるが、前半が9小節のフレーズでできている。
9小節のフレーズなど、そうそうお目にかかれるものではない。
しかも、これほど自然に必然性を持っている9小節フレーズは、他に例を見ないのではないだろうか。
かくいう私が20年くらい、この事実に気づかなかった。
気づいたのは、同じく気づかなかったであろう編曲者が、これを8小節フレーズで処理した楽譜を持ち込み、リハーサルが大混乱に陥った時である。
多分、リヒャルト・シュトラウスも気づかなかったような気がする。あの《イタリアから》の引用は、何とも変な感じで落ち着かない。
ことほどさように、すっと耳に入ってしまう9小節フレーズ、ひたすら凄いと感服するのみだ。
もちろん、和声構造も巧み。最初単純なのだが、段々せりあがっていき、最後にサブドミナントで爆発する、まさに登山電車にふさわしい構造。
まあでも、抜群のオリジナリティはやはり最初、【魅惑の9小節フレーズ】である。
さあ、今日も「しよう、しよう、アベノマスク!」
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