井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

トップサイドの音量

2010-10-12 07:02:47 | オーケストラ

この場合「トップ」とはオーケストラの首席奏者(コンサートマスターを含む)で、「トップサイド」とはその隣に座る奏者のことを指す。あまり話題になることはないと思うけれど、気にしている人は気にしているんだな、ということが最近わかった。

これを気にしているのは、もちろんアマチュア・オーケストラの方々であろう。トップサイドどころか、コンマスやセカンドトップも何をしていいかわからない、という質問も来る。

まず、トップをやってみるとわかるのだが、自分がよく知っている曲と、そうでない曲では、かなり結果に違いが出てしまう。知っている曲だと、自分のパートがどのくらいの音量で、どのタイミングで弾けば良いか、かなり見当がつく。知らないとつかない。だから、本来は事前に知っておく、というのが建前になる。

これも経験を積んでいくと、知らない曲でも、大体このあたりか、という見当はついてくる。これがベテランの領域である。もちろん限界はあるけれど。

それで、トップサイドだが、やはり知っていれば対応の余裕がある状態になるから、基本的にはトップ同様である。その上で、トップのやり方に合わせる、ということになる。

そこで、問題の音量。トップの人よりやや弱くなるとトップと同化はしやすい。しかし、通常トップサイドは舞台の奥に位置するから、客席から聞けば常にトップより弱い音になる。よって、意図的に弱くするのは疑問が生じる。

私の個人的見解では、トップサイドの人にはガンガン弾いてもらいたいと思っている。あくまでも全体の流れに沿って弾いてくれているならば、という条件つきではあるが。コンサートマスター、トップとも合図を出す等、他の仕事があるので、時には音を出すより、そちらを優先させることがある。それに合わせてトップサイドの音量が減ってしまうようでは、安心して他の仕事ができない。

先日、久しぶりに弦楽器の先輩達と会って話した時のこと、ある先輩曰く、

「千香士さんのコンマスとして優れていたのは、後ろの人に充分弾かせることができたことだよね。」

一方、千香士先生が生前おっしゃっていたこと。

「いいオケは後ろから鳴ってくるんだよ。」

これらの話を総合すると、トップサイドの問題はコンサートマスターにも左右される、という考え方が浮かび上がる。トップサイドを悩ませるようなトップではいけない、という言い方もできるかもしれない。なかなか難しいポイントも含んでいるが、それを乗り越えてこそ、いい音楽が誕生するということだろう。


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1 コメント

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先日、テレビで○響を見ていたとき、今や同響のコン... (kohji)
2010-10-21 01:09:54
先日、テレビで○響を見ていたとき、今や同響のコンマスとして大活躍中のS氏の姿が。コンマス席にはベテランコンマスの御馴染みM氏。S氏がそのサイドで、その位置のS氏をテレビで拝見したのが初めてだったのでちょっと注目してしまいました。見た感じなんとなく10年くらい前の映像??って感じで。このエントリを拝見していましたので、あのS氏を側に従えてのコンマスM氏はそれはそれは演り易かったことでしょうとか、想像してしまいました!!
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