福岡に居ても、時々東京や大阪の状況を知らせてくれる人がいて、たまに聴く分にはなかなか興味深い話もある。
最近は東京と大阪を行き来する若手プレーヤーもいるそうで、以前より関西のことが東京でも話題になるようだ。
そして、どこかのとあるオーケストラについて、ああだこうだ言っているらしい(盛り上がる話題は大抵悪口)。
曰く、若手だけを集めたオケより、やはり長年固定したメンバーのオケの方が味のある音がする、とか。
私に抵抗があるのは、寄せ集めのグループより、固定メンバーのグループの方が良いという意見。
確かにウィーン・フィルの音は寄せ集めでは出せない。でもあの音は、同じメソードで教育を受けたメンバーが同系列の楽器を使って出すからあの音になるのであって、結果的に固定メンバーだが、メインの理由にはならないと思う。
一方ベルリン・フィルは受けた教育、使う楽器は様々だけれど、最高の演奏をする。これは固定メンバーだから、と言いたくなるかもしれないが、やはり、それがメインの理由ではないと思う。一番の理由はうまい人が集まっていることだろう。
「うまい人が集まったからといって、最高の演奏ができる訳ではない」と言う人がある。これは「うまい人」が曲者で、私に言わせればアンサンブルができない人は「うまい人」ではない。
例えば「ルツェルン祝祭管弦楽団」や「バイロイト祝祭管弦楽団」は寄せ集めだけれど、最高クラスの音が味わえる。
もちろん指揮者の良し悪しは影響する。
前述の若い人のオケの指揮者が、いわゆる「チャッカマン」タイプだと、なかなか良い演奏には結びつきにくいかもしれない。チャッカマンはアンサンブル能力が高いオケで本領が発揮できる。寄せ集めでアンサンブル能力が育っていない場合は、やはりビルダータイプがふさわしい。
実際には、なかなかそうならないことが多いから大変である。
室内楽でも、やはり「うまい人」を集めたら、そうでない固定メンバーが何日もかけてできるようになることを一回でやり遂げてしまう。
なので、演奏上、固定メンバーと寄せ集め、どちらが良い・悪いということは「ない」というのが私の持論である。