ほんの少しも寝耳に水じゃない（ルネサス）

ルネサス閉鎖、従業員・地元「寝耳に水」…山形・鶴岡
http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20130729-OYT8T00568.htm

> 　半導体大手のルネサスエレクトロニクスが、鶴岡工場（山形県鶴岡市宝田）を閉鎖する方針を固めたことに、従業員だけでなく地元関係者も衝撃を受けている。
>
> 　同工場を運営する同社の子会社「ルネサス山形セミコンダクタ」は、従業員数約９００人で市内最大規模の企業。５０歳代の従業員男性は「工場の売却が検討されているのは知っていたが、閉鎖は寝耳に水」と驚く。



ルネサスの工場閉鎖が「寝耳に水」だとか言っているヤツがいるようだが。
ほんの少しも寝耳に水じゃない。



【半導体】ＴＳＭＣ「ルネサスのゴミ工場を買う理由がない」 | ログ速
http://www.logsoku.com/r/poverty/1341764333/

> 「ルネサスのどの工場も買う計画はまったくない」

> 「よほど安い買い物なら検討するかもしれないが、合理的で採算に厳しい会長が買うとはどうしても考えにくい」



そもそもＴＳＭＣに売却しようとしていたその作戦は失敗するのが目に見えていた。



ルネサス、鶴岡工場など閉鎖で生産体制再編
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130802/bsc1308021845014-n1.htm

> システムＬＳＩ（大規模集積回路）の主力生産拠点である鶴岡工場



そもそもルネサスも含めてシステムＬＳＩはほとんどの国内半導体メーカーが巨額の赤字続きでまっさきに切り離しを検討していた部隊で、そのシステムＬＳＩの主力生産拠点である鶴岡工場は買い手がつかなければそのまま閉鎖となるのは想定内である。



わたしはルネサスとは全くかかわりがないのだが、それでもこれくらいは想定する。

そこで思うのがだな。
地元関係者は本当に「寝耳に水」と受け取ったのだろうか？

ちょうど地元にくわしいヤツがいたのでつかまえて聞いてみた。

「みんなヤバいと思っていますよ。それが「寝耳に水」だと感じる人は、地元でのほほ～んと暮らしている人だけです」

なるほど。
地元の人の間でも判断力には大きな開きがあるようだ。



関係者インタビューを見てみると
「地元での再就職の希望がかなうかどうか心配で(ry」
みたいなのを見る。

しかし。
鶴岡市をgoogle地図で見てみると恐ろしいことがわかる。

市街地の規模を考えれば巨大といえるほどの工業団地があり、
その工業団地の半分はルネサスが占め、
のこりの半分の半分はルネサスがいるからそこに建てたような企業の工場。

さきの地元にくわしいヤツも
「あの工業団地はルネサスのために作ったものですから」
という話だ。

ルネサスが撤退したら鶴岡市は壊滅する。
地元再就職なんて言っている場合ではない。
ルネサス関係者でなくとも農家でないならば今のうちに家を売って域外に脱走したほうがいいくらいだ。



では、中の人はどう思っているのだろうか？

実はいいものを見つけた。




http://www.renesaskon.net/enquete/bappon/bappon2.html



統計の母体数が少なすぎるのと労働組合関係者臭いのとでバイアスがかかっている可能性があるが、それをふまえたとしてもだな。

全体の７５％がルネサスはもうダメだと思ってる！
ルネサスは良くなると思っているヤツは全体の１１％しかいない！

恐るべし・・・



早期退職者募集に社員が殺到、ルネサスに希望はあるか？
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36217

> 経営不振に陥っているルネサス エレクトロニクス（注：2010年4月にNECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが経営統合して誕生）が9月18～26日にかけて、5000人を目標に早期退職希望者を募集した。
> その結果、初日の18日に目標を上回る五千数百人の応募があったため、初日で応募を締め切ったようだ（10月4日追記：本日の日本経済新聞によると初日応募者は7511人だったとのことである）。



実は会社が傾いているかもしれんと判断するのに良い指標がある。
それが↑この早期退職者の募集結果である。

大規模な希望退職を募ったのにもかかわらず、応募が殺到し、初日に締切り。
こういうのが一番まずい。

ではそれは何を意味するか？

それは・・・

「この会社はもうダメだ」
「うちの会社はどうせまたリストラやるに違いない」
「退職金の上積みがたくさんある今のうちに辞めておかないと、次はちょっとしか出ないうえにリストラを強要されるのでは…」

と思っているヤツが社内に大勢いるということだ。

ふつうに考えれば、仕事のあてがないのに思い付きで辞めておまえどうすんだｗ…とツッコミたいところだが。
実はそうではなく、残っても未来がないと悟っているから辞めるのだ。

ＩＴバブル崩壊のタイミングでも、電機は大きなリストラを行った。
そのときはかなり無理やり辞めさせた人が多かった。
まだそのときは会社に未来があると思っていたからこそ、多くの人たちは真っ先に辞めようとしなかったのだ。

だが、ルネサスは違う。



こんだけボロクソに書いているが、むしろわたしはルネサスのファンですらあるかもしれない。
個人的にはルネサスは復活してほしいと強く願っている。
赤いルネサスの製品はよく知らんが、青いルネサスの前身の旧ＮＥＣエレ由来の半導体は昔からよく使っている。

性能は大したことはないが、とにかく圧倒的なまでに安かった。
そして驚くほど信頼性が高かった。
恒温槽にブチこんで過剰な高温で動作させても壊れず、ようやく壊れたかと思えば実は周辺回路の抵抗のほうが先にブチ壊れていて本体は無事だった…なんてほど頑丈だった。
いっしょに評価した専業の海外メーカー製はたしかに高性能ではあったが、旧ＮＥＣエレに比べると驚くほど値段が高く、まあこんなもんだろうというくらいの過負荷であっさり壊れた。

あれには驚いた。
それ以来、性能が許せば手あたり次第にルネサス製を採用しようかという衝動にかられつづけている。
（でも、採用点数は多くても、金額面では大したものにはならない。装置の主要性能を左右するキーデバイスには性能不足でなかなか使えないのだ…。）

ルネサスは何もかもダメだからつぶれそうなのではないと信じたい。
何か根本的なところでちょっとした作戦ミスがあるだけなんじゃないかと信じたい。