教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

時計塔のヒミツ

2009-06-11 00:03:45 | 科学
Strawberry Panic やハヤテのごとく!などには、学校に巨大な時計塔がついている。

で・・・
なんでこう、時計って時計塔になるのだろうか。
なんでこう、時計って高いところにあるのだろうか。

実はこれには理由がある。

視認性の問題もある。
宗教的な理由もある。
威厳を保つためといった支配者側の都合もある。

しかし!

それだけではない。
技術的にそうしなければ都合が悪い理由もあったのだ。

いまの水晶振動子が基準源の時計(いわゆるクウォーツ式)はおいといて、もっと古い機械式の時計を考えよう。

腕時計なんかではゼンマイみたいな小さな振り子が入っている。
こいつはけっこうクセモノで、バネの経年変化やら何やらで精度が落ちやすい。
バネのテンションによって精度が決まっているからだ。
いきおい、どうしても時間がずれる。

ではどうするか?

置時計みたいな振り子にすれば良い。
原理的には地球の重力が一定でありさえすれば、ガリレオの発見よろしく振り角によらずいつも同じ精度が得られる。
バネのテンションなどには依存しなくていい。

しかし、ガリレオ理論は
「振り子の振り角が十分小さければ」
というおやくそくが成り立つときだけ成り立つ。
卓上サイズ時計のような短い振り子ではなく、何メートルもあるようなうんと長い振り子を使うほうが、振り角が小さくなるので精度が出る。
だから時計の文字板は高いところにある。

細かいことをいうと・・・
振動子と駆動回路がなるべく粗結合になるように脱進機の構造を工夫したり、湿度変化による浮力を補正する金属を追加して重心が移動しないようにしたりと、いろいろと高精度化テクノロジーが詰まっているので、興味があったら調べてみると面白い。

さらに!

振り子の駆動エネルギーが一定でなければ振り子の周期がビミョーにずれる。
腕時計ではゼンマイみたいなバネを使っているので、巻き始めと巻き終わりでテンションが変わりやすい。

ではどうするか?

重りにヒモをつないで、それをドラムにグルグル巻きにして、上から吊るして重りが下がる分を振り子の駆動エネルギーとして使えば良い。
そうすれば重りが落ちきるまで常に均一に駆動できる。

しかし、重りをぶら下げる以上、ある程度の高さが必要である。
高ければ高いほど、ドラムがほどけるまでの時間稼ぎができるので、長時間の連続稼動ができたり、高精度だけど重くて長い振り子を駆動できたりできる。
だから時計の文字板は高いところにある。

細かいことをいうと・・・
腕時計とかのコンパクトな時計でも、ゼンマイを予めSの字に塑性変形させておいて巻き始めと巻き終わりでテンションが変わらないようにするとか、バルジという三角錐の定力装置によってゼンマイの解ける速さを変えて力が一定になるようにするとか、これもいろいろと高精度化テクノロジーが詰まっていて面白い。

さて、時計が時計塔にある理由がわかった。
むかしは高精度な時計を作るためには時計は高い位置に置かなくてはならなかったのだ。

むかしは時計塔の時計のゴングが町中のひとのリファレンス時計だったので、町中でいちばん正確でなければならなかった。
時計塔の時計を校正するためには、天体観測して合わせる以外になかった。
それ以上に高精度なものは無かったのだ。

Strawberry Panic やハヤテのごとく!などを見ても、建物の中のシーンがときおり出てくるが、どこにも振り子や重りらしきものは出てはこない。
Strawberry Panicの11話にポータブルカセットプレーヤーが登場したり、18話にダイヤル式固定電話が登場するところから、時代は20世紀末だと思われる。
仮にそのころに時計塔が建造されたとすると、恐らくすでにいわゆるクウォーツ式とか電波時計とかしか入手できなかったであろう。
だから、あれは見かけだけ古いのにマネたデカダン趣味にすぎない疑いもある。
アレはパチモンだということもありうる。

ところが!

Strawberry Panicの建物は100年前のものだという設定になっている。
日清戦争のころだ。
そのころに建造された時計塔がそのまま稼動していたとすると、本当にそういったメカを搭載している可能性が高いのだ。
きっと振り子や重りは登場していないだけで、きっと時計塔にあるに違いない、、、うん、そういうことにしておこう(笑)。

ホンモノの時計塔の時計ならメカニズムはすばらしい。
あれはいいものだ。



追伸:

↓いいもののサイト。
http://www15.ocn.ne.jp/~tokeidai/
http://www.welcome.city.sapporo.jp/sites/tokeidai.html
構造がわかってるとなお面白い。


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