見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

宇宙ヒモ

2014-10-01 | 生活
ネーミングっていうのは、大事なんだよ。
名前をつけるとイメージができるし、イメージで、人間は左右されるからさ。

―伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』より



最近、『祇園笑者』というトーク番組にハマっている。
内容は、2人の吉本芸人が舞台に登場してトークをするというものなんだけど、
毎回、出てくる人やその組み合わせがいろいろで、
どの回のおしゃべりもただただ面白い。さすがはみなさん、話芸のプロです。

なかでも、ザ・プラン9のヤナギブソンの出演回にハズレなし!と思う笑。

たとえば、

世界で一番タバコを吸いたくなる場所とは、
旅館の和室のイスとテーブルが置いてある、窓際のあの細いスペースである。

だとか、

パンの種類のひとつである「デニッシュ(Danish)」は、
デンマークが発祥という意味だが、当のデンマークでは、
オーストリアのウィーンが発祥と伝えられているため
「ヴィナーボズ(Wienerbrød)」(ウィーンのパン)と呼ばれている。
この、お互いが発祥地をどーぞどーぞと譲り合っている感じを、
勝手に『逆・竹島現象』と呼んでいる。

だとか。

まさに「誰が興味あんねん!」な情報が、バッと出てくるのです。笑

(どうでもいいけど、フェイスブックの「いいね!」機能に加えて、
「誰が興味あんねん!」機能の追加は大賛成。)


で、「宇宙ひも」

土肥ポン太とのトークの回で登場した言葉が「宇宙ヒモ」。

(「宇宙エレベーター」もそうだけど、
言葉の頭に「宇宙」が付くとなんだかワクワクしちゃうね。)

まず、そもそもの語源は、
映画のワンシーンにありがちの、宇宙飛行士が船外活動をしている最中に
なんらかの弾みで命綱(ヒモ)が切れ、そのまま誰にも気づかれずに
宇宙空間をずっとさまよい続けるような場面からきているのだそう。

そして、「宇宙ヒモ」とは、
そのヒモが切れて宇宙空間に投げ出されてしまった宇宙飛行士のように、
不安で、寂しくて、でもちょっと恥ずかしくもあり、
それが誰にも気づかれていない状態のことなんだって。

たとえば、音楽ライブでものすごいギターソロ中の、ボーカル。
たとえば、先輩芸人と後輩芸人が2人で食事へ行く途中、
そこにファンがやってきて、後輩芸人だけにサインを求めてきたときの、先輩芸人。

こういう、誰もが経験のある、なんとも言えない手持ち無沙汰な状態を「宇宙ヒモ」と呼ぼう、
そうすれば、その状況をみんなで共有できるし、説明もしやすいじゃないか!

そんな話だったのね。


その時は
「あ~、宇宙ヒモの感覚はわかるけど、
でも、使い道はあまりなさそう。宇宙ヒモって・・・」
と思っていたんだけど、


つい先日。
ここからは私の話。

登録していた派遣会社から仕事を紹介してもらい、
派遣会社の営業さんと共に、派遣先の会社を訪問したのです。

小さな会議室に通され、
営業さん、私、そして派遣先の会社の担当者、この3人で
自己紹介やら仕事内容やらのお話を20分くらいして、
それでは結果は後日に、失礼します、と全員が立ち上がったその時、

営業さんが派遣先の担当者さんに
「あ、ちょっと別件で確認したいことがあったんです~」つって、
過去の採用者Aさんについての評価を聞き始めた。

私には全く関係のない話で、というか、
私が横で聞いていても問題ない話なのかね?という疑問が湧くものの、
2人とも普通に大声でしゃべってるし、
まぁ、1~2分なら私もぜんぜんすまし顔で立ってられたんだけど、
結構長く深く2人が話し始めたものだから・・・

あぁ・・・どうしよう、、わたし、宙ぶらりん、、
先、帰りまーす!つって出てくわけにもいかないし、
かといって、また着席するのも違うし・・・。ソワソワ。

てか、今まさに「宇宙ヒモ」じゃん!



それに気づいた途端、ちょっとニヤニヤする私。
そして、本来なら不安になる状況下なのに「宇宙ヒモ」と名前が付いたことで
かなり安心したというか、心に余裕ができた。
広い心で、営業さんと担当者のやりとりを見届けられたのです。

宇宙ヒモすごい!!!
ネーミングってすごい!!


物事ってのは、その現象や概念に名前が付くことで、
なにかと不便になることも多いけど、
名前が付くことで落ち着くこともあるんだねぇ、と。しみじみ。
そんな話。


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