撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

ブラショフ(トランシルヴァニア)の教会(1)

2014-06-06 18:50:13 | 海外生活

 いよいよ、エルディー(Erdély) のハンガリー教会の聖地、古都とも呼ばれている

ブラショー(Brassó)へ巡礼に旅立つ。 当然の事として、いろんな国民の思惑が込め

られて、その呼び方は様々であるが、ここはハンガリー語を主体に使っていきたい。

世界的には、トランシルヴァニア (Transilvania) のブラショフ (Brasov) の方が通り

が良いであろう。

ここはブダペストから700km離れ、この辺一帯はセイケ地方とも呼ばれ、ハンガリー人

の心の故郷なのかも知れない。 何処に行ってもハンガリー語を話せる年配の方や二世、

三世の方がおり、ハンガリーに多少なりとも関係のある者にとっては、心強さと親しみを

感じさせてくれる所である。

  ナジセベン (Nagyszeben) の街を抜け、15kmほどで国道1号線と7号線の分岐点となる。

 7号線に進路を取るとブカレスト (Bukarest) へ、目指すブラショー(Brassó) 方面は国道1号線

 を東に向かう。

 まず、立ち寄るのは、ケルツ (Kerc) にある、今は廃墟化しているが、往年はカソリックの修道院

 であった。

<百八十八番札所: ケルツ (Kerc) 教会>

 教会は、1202年にフランスのシトー会(*1)の修道院として、王イムレ(*2) によって建てられた。

最初はロマネスク様式で建てられたが、2期目からはゴシック様式が使われた。

1421年と1432年には、オスマントルコ軍の襲撃を受け破壊されたが、1453年に今の形に復元

された。 

1470年には、王マーチャーシ(*3) によって、修道院は閉鎖となった。

1648年に内陣の前壁面が修復され、現在も残されている。 内部の祭壇部分は、今はルター派の

教会として使われている。

 (*1) ; カトリック修道会のひとつで、ベネディクト会改革派の一派。 1098年フランスのシトー

      (地名)で創設された。

 (*2) ; 15代目の王で、イムレの在位は、1196~1204年。

 (*3) ; 32代目の王で、マーチャーシ1世の在位は1458~1490年。 現在のブダ城(王宮)内

      にあるマーシャーシ聖堂は、ハンガリー全盛時代を築いた彼の名に因んだ。

 

 今も残されている教会の前壁面部と鐘塔

   

 

    

 

北東側からの教会全貌                      祭壇側(東側)からの全貌

 

 

南東側からの全貌                         南西側からの全貌

 

 

南側に迫り出した修道院棟の壁面               修道院の窓

 

 

残された修道院棟の壁面

   

 

 祭壇部                 祭壇部からの教会入口側

   

 

祭壇部北側                               祭壇部南側

  

 

古い板絵が数多く残されている

 

 

 ユニークな賽銭箱          当時を再現した修道院、教会の模型

  

 

  これで、「ブラショフ(トランシルヴァニアの教会(1)」<百八十八番札所;ケルツ教会>は終了です。

 

「バラトン遍路の旅」