「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       ロシア首相の国後視察と鳩山顧問の党員停止

2012-07-05 05:21:17 | Weblog
ロシアのメドベージェフ首相が3日、北方領土の国後島を視察した。大統領在任中の2010年に次いで2度目である。しかも彼は現地の住民に対して”北方領土はロシアの古来の領土である。一寸たりとも日本へ渡さない”と豪語したという。盗人猛々しいとはこの事を言うのだ。北方領土四島は言うまでもなく日本の領土だ。1885年(安政元年)時のロシア帝政政府と徳川幕府との間で国境取決和親条約によって確定している。これは戦後の1956年、鳩山一郎総理とロシアのフルシチョフ第一書記との間で取り交わした共同宣言でも明らかだ。

こんな時も時、民主党の外交最高顧問鳩山由紀夫元総理が社会保障税一体化改革法案の衆院採決に反対票を投じて6か月の党員停止処分を受けた。これは当然外交最高顧問も解かれたことを意味するのだろう。メドベージェフの国後視察は、まるでこれを見透かしたように行われた。ロシア外交のしたたかさを感じる。

鳩山由紀夫氏は最高顧問だった昨年2月、国後島が指呼に見渡せる根室市の会合で”四島同時返還などは未来永劫ありえない”と脳天な発言をしている。祖父の鳩山一郎総理(当時)は平和条約締結後に歯舞色丹の即時返還の約束を取り交わしているが、国後択捉は要らないとは言っていない。外交には時にはブラッフが必要である。交渉前から鳩山氏のように腰がしけていては勝負にはならない。

玄葉外相はメドべージェフの国後視察について”日露関係の前向き雰囲気に水を差す”と批判しているが、時には外交的ブラッフも必要だ。例えば今、年二回(2月と8月)の「北方領土返還運動全国強調月間」を毎月一回実施して、国民の関心の深さを誇示したりしてはどうか。関係閣僚が交代で根室に行き,納沙布岬から北方領土を視察するのも一つの策かもしれない。

  インドネシア義勇軍(PETA)兵士(86)からのメール

2012-07-04 05:39:13 | Weblog
中部ジャワ(インドネシア)のトゥマングン(Temanggun)在住のバンバン.プルノモさん(87)から初めてメールを頂戴した。プルノモさんは日本軍政時代の郷土義勇軍(PETA)の一員で、実兄のバンバン.スゲンさん(故人)は、かってインドネシア国軍の参謀総長で、戦後は在日インドネシア大使も務めたことがある。昨年11月、僕はメールで知り合った日本の若い人の紹介でテマングンを訪れ、同地で日本語塾「寺小屋」を経営するプルノモさんと懇談した。その時はメールをされていなかった筈だから、その後勉強されて始めたのだろうか。

僕は戦後のインドネシア独立戦争については詳しくないが、先日たまたま畏友奥源造さん(故人)の著書「帰らなかった日本兵」(昭和62年政界往来社)を読み返してみて驚いた。残留日本兵の一人、池上成人さん(故人)が独立戦争時、テマングン地区でバンバン.スゲン司令官の参謀としてオランダ軍との間の戦闘で大活躍していたのだ。池上さんはこの時の戦闘で右手首を切断された。

池上さんは終戦時マゲランの飛行隊から離脱、インドネシア独立軍に参加、バンバン.スゲンさん率いる第七師団第十七連隊の参謀に就任した。池上さんのインドネシア名チョクロはバンバン.スゲンさんが命名したものだという。昨年11月訪問した時には、僕はこのことをまだ知らなかったからプルノモさんともこの話をしなかった。

奥源造さんの本の副題は「インドネシア独立史から消えた戦士たち」とある。インドネシア独立戦史にはチョクロ池上さんの活躍が記されているのかどうか。奥源造さんの本によるとチョクロ池上は当時、オランダ軍から黒装束の”悪魔隊長”として恐れられていたという。テマングンの街の丘の上にはバンバン.スゲン将軍の銅像とともに戦時中、この町に駐屯していた大分歩兵47連隊磨部隊の記念碑が残されている。こんなジャワの小さな町にも日イの隠れた歴史が刻まれている。

            小沢一郎 消灯ラッパを吹いたら!

2012-07-03 06:06:59 | Weblog
実現出来る当てもないくせに大きなことをいうのを”ラッパを吹く”という。(三省堂慣用句辞典)昨日、郎党48人を引き連れて小沢一郎氏が民主党を離脱した。その後の記者会見を聞いたが、彼の論理は相変わらず支離滅裂、政権交替の原点に戻って国民との約束(マニフェスト?)をを守るべきだという。彼一流のラッパである。民主党は、この3年間何をやってきたのか。財源もないのに彼のラッパに踊らされて迷走を続けてきたではないか。

小ブログは終始小沢氏を批判し続けてきた。政権交代時からでも数えたら28本もあった。タイトルを拾ってみると”諸悪の元凶””辞めて下さい一兵卒””傲慢無礼な政治家””小沢の横やりと(ヒットラー)ユーゲント””そろそろ老兵は消えてくれ“民主党は小沢を離党させろ””小沢のわがまま”などなど。わが国の政治は”小沢に引っ張りまわされた3年間”であった。週刊誌の見出しに「疫病神」とあったがまさにその通りであった。

民主党は政党の体をなしているように見えて政党ではない。小沢グループとともに先の消費増税と社会福祉一体化法案に反対した鳩山由紀夫元総理が他人事のように”党の執行部は反省すべきである”と言っている。造反派の処分を任されている野田総理と輿石幹事長は、鳩山元総理は除籍にしないのだろうか。鳩山氏は”小沢氏とは政策的には非常に近い、協力関係を模索したいと”とまで言っている。離脱予備軍はまだまだいそうだ。しかし、一方では小沢グル―プから3人の脱落者も出てきている。小沢さん、国民はこれ以上政治の混乱を望んでいない。自ら消灯ラッパを吹いて政界から眠りについては如何が。国民はあなたの一日も早い引退を望んでいる。

           スペインのカタツムリ料理と牛レバ刺し

2012-07-02 05:10:39 | Weblog
先日スペイン協会の催しで僕は生まれて初めてスペイン産のカタツムリ(Caracales)を食べた。カタツムリ料理というとフランスのエスカルゴが有名だが、味はそれに劣らず美味しいと言いたいところだが、僕にとってはやはりゲテモノ料理である。何故西欧でカタツムリ料理が珍重されるのか。モロッコなどのマグレブ(西アフリカ)でも食べると聞いたが、もしかするとイスラム時代に持ち込まれたものかもしれない。

ゲテモノと言えば7月から若者に好まれていた牛のレバ刺しが禁止され、客にこれを供した店は懲役2年以下の刑に処せられる。一部の美食家の間では恐慌をきたしているようだが、僕は食べたことがないから判らない。牛のレバ刺しは、1950年代、朝鮮食文化が日本で一般化されるまでは、キムチと同じように日本人は食べなかった。当時はトリ刺しのほうが好んで食べられていたが、同じ時期米国からブロイラーが持ち込まれて、今では一部の地鶏しかナマでは食べないくなった。

若いころ僕は長野に1年間勤務したことがある。物の本によれば”信濃の国”にはクロすずめの蜂の子、イナゴの甘露煮,ザザ虫の大和煮などといったゲテモノ料理があるというが、幸か不幸か食べたことがない。福島県の郡山では、あまり知られていないが熱燗に雀焼きをいれたガジ酒を飲んだことがあるが、これは美酒だった。

海外勤務したインドネシアでは、たいてい現地の人は朝食に焼き飯(ナシゴレン)を食べる。これは常夏の国では御飯が腐りやすいのでできた庶民の知恵のようである。最近でこそホテルなどでは生の魚も食べられるが、45年前、ジャカルタでは一軒も日本料理店がなく、わざわざ外港のタンジュンプリオクまで行き、日本にいた華僑にに刺身を作らせた。刺身もつい数十年前までは世界的にはゲテモノだったが、今ではどこへ行っても食べられる。食文化の変化である。

          年寄りにもっと下りのエスカレーターを!

2012-07-01 05:50:10 | Weblog
東京都営地下鉄の優先席が現在は一車両あたり二か所なのが四か所に増えるという。これによって一車両で12-20人の優先席が確保される。高齢者にとっては朗報だが、問題は若い人たちに”ゆずりあいの心”があるかどうかである。最近は僕ら年寄りは、変な”ゆずりあい”など期待せず、若者のマナーの悪さを見るのがイヤなので優先席のない扉から乗車する。

東京都内の公共交通機関は電車でもバスでもせいぜい乗っている時間は30分位だ。その程度の時間なら立っていてもそれほど苦痛にはならない。一番苦痛なのは駅構内にエレベータ―やエスカレーターがないことだ。昨年来、僕も年寄りに多い「変形型膝関節症」が悪くなり杖のお世話になることが多くなったが、外出時にはネットで駅情報をあらかじめ調べることにした。エレベーターがあるかどうか、あるいはエスカレーターがあるかどうかといった情報だ。

東京の場合、都営地下鉄は営団地下鉄に比べて後発のためか、駅が地下の深部にある。最近交通量の多い駅ではエレベーターは完備してきたが、まだ昇りのエスカレーターだけの駅が多い。年寄りにとっては登山より苦痛だ。営団地下鉄は地上から浅いためエレベーターもエスカレーターもない駅が多いが、年寄りにとっては距離に関係なく苦行である。

若い時、僕も下りのエスカレーターを見て、無駄なことをやっていると思ったことがあった。健常者にとってはエレベーターもエスカレーターも疲れないための手段だが、年寄りにとっては、なくてはならない必需手段である。高齢者にはバリアーになっていて、これが家に引籠りの原因になっているといっても過言ではない。