厚労省の発表によると、介護施設職員による高齢者への虐待行為が平成30年度、全国で621件あった。これは前年度の520件より21%増の過去最高だとのこと。ショッキングなのは被害者の85%が認知症の老人で死者まで出ている。この背景について、深刻な人出不足による職員の負担増があると指摘されているが、ただそれだけであろうか。
たしかに介護という仕事は大変な仕事だ。要介護2の僕も今、週1回、介護施設でリハビリの通院サービスを受けており、その一端をかいま見ているが、被害の大半は滞在型施設のそれも特別養護老人施設(特養)で起きている(全体の34.9%)。特養とは関係者以外には分かりにくいが、社会福祉法人や地方自治体あ経営する公的施設で有料老人施設に比べて利用料金が安い。それだけに入居希望者が多く介護度の高い要介護4,5に限られている。
介護福祉職は慢性的な人出不足だという。仕事の内容に比べて報酬が安すぎるからである。一方では売り手市場という声もある。たしかに認知症の老人が多く、介護度の高い特養施設と僕が世話になっているリハビリ施設では介護の密度が違う。認知症老人への介護は特別手当を出すなど仕事のを細分化し、報酬を決めるなど対応を考えてはどんなものか。