韓国の憲法裁判所は27日、慰安婦問題をめぐる2015年12月28日の日韓合意は憲法違反だとして元慰安婦が起こしていた訴訟を全員一致で却下した。当然の判断だが、問題なのは憲法裁判所がこの合意を条約締結の手続きを踏まない、単なる政治的なものと判断していることだ。
4年前のことだから記憶に新しいが、ソウルの日韓外相会談の後の記者会見で岸田文雄外相と尹炳世外相が握手を交わして合意が発表された。”最終的 不可逆的合意”のうちあまり聞きなれない”不可逆的”の言葉が耳に残っているが、具体的に問題の一つ、ソウルの日本大使館前の慰安婦像の撤去については曖昧の表現であった。
わが国は合意は“最終的 不可逆的”なものとして慰安婦への支援事業に10億円を拠出しているが、韓国は憲法裁判所の判断のように、合意は国際間の条約ではない、政治的なものとして判断(これもおかしな話だが)縛られないというのだろうか、慰安婦像は撤去されるどころか増えるばかりだ。
岸田外相(当時)は日韓会談に先立ち、慰安婦問題に一汗かいて努力してくると語っていたが、韓国の現状はその一汗がムダ汗であった。徴用工の問題でまた解決済みの問題を突き付けてきている。これは1965年の日韓基本条約で解決済みである。慰安婦合意は、内容を成文化しなかったのは外交的失敗だったかもしれない。約束事を守らない国なのだ。