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「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

”終い(つい)の住まい”としては悲劇すぎる

2015-09-09 05:36:22 | 2012・1・1
川崎市の有料介護つき老人ホームで、昨年11月から12月にかけて入居者の86歳から96歳の男女3人のお年寄りがたて続けに3人、施設の4階と6階のベランダから深夜落下して死亡したという。ベランダには1.2メートルの防御柵があるとのことだが、高齢者にはとても、これを乗り越える体力はない。遺書もないし、とても自殺とは考えられない。川崎市と警察は今、事故か事件の両面から調べているそうだが、いずれにしても老人にとっては、”終いの住まい”であったはずである。ショッキングな悲劇である。

僕の周りでもそろそろ有料老人施設にお世話になる友人知人が多くなってきた。幸い僕ら夫婦は二人ともまだ元気だが、いつお世話になるとは限らない。多少”断捨離”の傾向がある僕だが、机の引き出しの奥から、先年亡くなられた知人のS夫人の遺稿ともいえる手紙が出てきた。”終いの住まい”と題する4百字詰原稿用紙5枚ほどの手紙である。たまたま、この川崎の事件(事故)があったのので読み返してみたところ、S夫人が”終いの住まい”の施設を選ばれた理由が書かれてあって参考になった。

S夫人はお子さんがなく、御主人の老後の看護を長く体験されている。それだけに、まだ身体が動けるうちにと介護施設入りを決意、自分の目で数か所施設を見て回り、自分の判断で”終いの住まい”を決定された。その判断とは、介護スタッフの対応と医療施設の充実であるという。川崎の施設をHPで見ると、川崎駅から徒歩9分という交通便利な環境にあり、建物も立派である。しかし、入居者の方には申し訳ないが、過去に介護スタッフをめぐるトラブルが多すぎるみたいである。入居時の頭金がないため、利用されたのかもしれないが、”終いの住まい”にするには、あまりにも悲劇すぎる。