「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      8月は北方領土返還要求強調月間なのだが

2011-08-04 05:45:14 | Weblog
8月は「北方領土要求運動強調」月間である。昭和20年8月9日未明、ソ連(当時)は一方的に日ソ平和条約を破棄して、わが国の領土に侵攻した。歯舞、色丹、国後、択捉の北方4島は以来、不当にロシアの占拠が続いている。この不法な歴史的な事実を忘れてはならないと、政府は8月を北方領土要求返還運動を盛り上げるための月にしている。が、どれだけの日本人がこのことを知っているだろうか。

先月、日本青年会議所が全国の高校生400人を対象に北方、日本海、南方の日本の領土地図を示し、正しく国境線を線引きさせたところ、北方領土に関しては正解できたのはなんと59人、14・5%であったという。驚くべき低い数字だ。

ロシアのメドベージェフ大統領が今年2月、4島の一つ、国後島を視察した。これに対して菅総理は”許しがたい暴挙だ”と抗議した。当然のことだが、ただそれだけで総理は4島が指呼の距離の根室さえ、これまで一度も視察したことがない。総理は”遠くない将来、自分の目で4島をみたい”とも言っている。しかし、在任中にこれが出来るのか。これではまるで”犬の遠吠え”みたいだ。

内閣府のHPを見ると、政府の返還要求運動は通り一変のものが多い。毎年決まった時期が来ると新聞に広告をだし、視聴率がゼロに近い時間帯にテレビ番組を提供している。これでは、高校生のほとんどが北方領土をロシア領だと思っているのも理解できる。領土返還を求めるには、まずは国内世論の喚起である。菅総理自らが、固有の領土である4島に乗り込むぐらいの気概が必要だ。実現できなくとも、国民は改めて4島が日本領であることを認識させる効果はある。