「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

   砂利のグランド 復活高校(中学)野球大会の頃

2008-07-14 05:17:10 | Weblog
東京はまだ梅雨が明けない。が、僕には待望の夏がやってきた。僕にとって毎年、
母校の野球応援が夏の到来を告げる。昨日,32℃を越す猛暑の中、駒沢球場へ
出かけた。61年前の母校のエースで、同期卒業のK君も来た。試合は後期高齢者
の元気な応援の甲斐あって三回戦へと勝ち進んだ。

昭和21年7月、東京都中等学校(高校)野球選手権予選一回戦の試合は、今でも忘
れられない。戦争のため中止されていた大会が復活した年の初めての試合だ。この
年の都大会の参加校は僅か54校にすぎなかった(今年の東京の参加校は東西併せ
て263校)母校の相手は東京高師付属中学で、球場は同校の小石川(文京区)の校
庭であった。校庭は砂利まじりで外野も内野もない。もちろん観客席などなかった。

負け惜しみになるが、当時は学校が戦災にあったかどうかで格差があった。母校は
空襲にあって校舎が全焼した。道具もやっとかき集めてきた状態で、スパイクがなく
運動靴の選手もいた。これに対して高師付属中は全員ユニフォームを着て、ファース
トミットまであった。試合は善戦むなしく10点差がつきコールド負けでであった。高師
付属中は都大会で優勝、全国大会でもベスト4に残った。

まだ食べるものも少なく、ものもない時代であった。一緒に応援したエースのK君の
話では硬球ボールが手に入らず、後楽園の廃棄ボールを貰い受け、家でほころびを
縫って使ったとのこと。孫の世代の元気に白球を追う姿をみて感慨一入であった。