安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ナンシー・ウィルソン BUT BEAUTIFUL

2012-09-02 20:38:54 | ヴォーカル(L~R)

前に買っておいた、村上春樹著「村上ソングズ」を読みました。スタンダードからロックまで29曲を取り上げて、歌詞を日本語に翻訳し、その歌に関するエッセイをつけたものです。和田誠さんが挿絵を多数描いていて、文章ばかりでなく絵も楽しめる面白い本です。その中の一曲、「Happiness is a Thing Called Joe」は有名な歌ですが、いかにも英語らしい表現のタイトルです。本文中で挙げられていた、この曲の代表的なヴァージョンを含むアルバムを聴いてみます。

NANCY WILSON (ナンシー・ウィルソン)
BUT BEAUTIFUL (Capitol 1969年録音)

 Butbeautifulnancywilson  

ヴォーカルについては、ジャケットの魅力もあって、オリジナルLPの人気がまだまだあるようです。僕は、昔から国内盤のLPやCDを買うことが多く、オリジナルにこだわってきませんでした。それは、国内盤は値段が安いことに加え、ライナーに英語の歌詞が掲載されることが多く、意味が不完全ながらもとれるからです。なにしろ、聴きとる力はありませんから(笑)。

最近では、英語詞を翻訳した本やサイトなどもあって、参考にすることができ、有難いことです。「Happiness is a Thing Called Joe」は、日本語なら、「ジョーがいるから幸福だ」という表現になるのでしょうが、Thingを介在させて、「幸福はジョーそのもの」(村上ソングズでは、「幸福とはジョーという名の男」)という題名は、英語ならではという気がします。村上春樹さんの翻訳はこなれていて、エッセイも歌詞の意味を掘り下げるものでした。

伴奏は、ハンク・ジョーンズ(p)、ジノ・パタチーニ(g)、ロン・カーター(b)、グラディ・テイト(ds)。曲は、「Prelude To A Kiss」、「For Heavens Sake」、「Happiness is a Thing Called Joe」、「I'll Walk Alone」、「Supper Time」、「But Beautiful」、「Oh! Look at Me Now」、「Glad to Be Unhappy」、「In A Sentimental Mood」、「I Thought About You」、「Easy Living」、「Do It Again」、「Darn That Dream」の13曲。CDになって、3曲追加されています。

ナンシー・ウィルソンのバラードを主体としたアルバム。ジャズ・ヴォーカルではありますが、ややR&Bよりの歌唱で、ドラマチックに起伏を付けた歌が目立ちます。例えば「Happiness is A Thing Called Joe」では「Joe Joe」と繰り返し、「Supper Time」も感情が充分込められていて、強い声で歌っています。デューク・エリントン作の2曲「Prelude To A Kiss」と「In A Sentimental Mood」も、雰囲気がよく出ていて、なかなか素晴らしく、繰り返して聴きました。 ハンク・ジョーンズ(p)以下は伴奏に徹していますが、ロン・カーター(b)の歌伴は珍しい。

【村上ソングズ】

表紙と挿絵です。内容については、ホームページの読書の項に紹介と感想を書いたので、時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう 村上ソングズ

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