安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

石黒ケイ 「アドリブ」、HELYNE STWWART 「LOVE MOODS」

2007-11-10 16:20:59 | ヴォーカル(E~K)

アート・ペッパーを昨日に続いて聴きました。歌の伴奏をしているアルバムを、華麗な彼のアルト・サックスの音色に注目しながらきいてみました。

石黒ケイ
アドリブ (VICTOR  1979年)

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これは素晴らしい。石黒ケイはけだるいフォーク・ポップス調の歌を歌う人のようですが、ペッパーのほかにもトゥーツ・シールマンス(ハーモニカ)、北村英治(クラリネット)などジャズ畑の人を迎えて吹き込んでいます。

「暗闇のラブソング」(山崎ハコ作詞・作曲)と「今晩おひま」(石黒ケイ作詞・作曲)の2曲でペッパーがソロをとっています。どちらも聴きものですが、特に前者は全盛期にも迫ろうかというプレイです。フレーズ、音ともに、当時不調ともいわれましたが、どうしてどうして、これはペッパーファンでなくても聴いてみたい逸品です。

収録された最後の曲「恋はもうたそがれ」(石黒ケイ作詞・作曲)は詞、曲、歌ともによく、イメージは「Autumn Leaves(枯葉)」です。「こんな時似合いすぎるわ 枯れ葉のメロディー」の歌詞に続く間奏部分で前田憲男(ピアノ)が「Autumn Leaves」のヴァースを弾いていて、お洒落な編曲です。全体にけだるい歌がブルーなムードを設定しています。

HELYNE STEWART (ヘリーン・スチュワート)
LOVE MOODS (Contemporary 1961年)

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ほとんど知られていないヘリーン・スチュワートの作品。ペッパーにとっては1961年という吹き込みの少ない時期のもので貴重。歌の方は黒人ながらしつこくないし、高音もまろやかで好感がもてます。スインギーな編曲が施された「The Man I Love」 でペッパーのソロがちょこっときけます。

その他では、「Why Don't You Do Right」がヘリーン、テディ・エドワーズ(TS)とも乗っていて全体の中で最も面白い。次いで「My Silent Love」がよいです。ジミー・ロウルズのピアノの音の美しさも聴けます。「This Can't be Love」ではフィ二アス・ニューボーンがソロの出だしをユニゾンでやってますが、この部分は違和感を感じて可笑しかったです。