Mooの雑記帳

日々の感想などを書いていきます。

5月1日(日) 言葉を失う日々

2022-05-01 12:44:07 | 日記

言葉、文字を無力に思わせ、あらゆる人々の口を塞いでしまうことが目的であるような力が支配的になる現実が広がっている。同時に、何かを伝えたくても言葉にならないほどの事件もある。いずれも人の死にかかわることだ。

北海道知床沖で海難事故を起こした観光船をめぐる痛ましい事件。船の安全管理など無いに等しい業者の船で命を奪われた人たちは、死んでも死にきれるものではないだろう。
山梨県道志村のキャンプ場付近で行方不明になった女児に関するとみられる骨や靴などが見つかったニュース。報道する側は、1人の命の尊さがどれほどのものかを伝えているつもりなのだろうが、行方不明になったり殺されたりしなければ事件なのではないはずだろう。

人間の死には原因があり理由がある。そこに至るさまざまな事象と時間の流れがある。
だから、ただ起こったことだけを取り上げて、痛ましさを言葉にしても、哀惜の情を吐露しても、それはその時限りのこととなる。時間とは切り離されているからだ。
相互に関連がないと思われる1つ1つの出来事が結びつき、絡み合い、ついには誰の目にも明らかな「事件」となったとき、人々が気にかけることは起こった事件だけだが、実はそれにつながる過去のことは目にしていながら誰も気にも留めなかったことなのだ。

アメリカはウクライナに莫大な援助費を投じて、さながら米ロ戦争をしているかのごとくに振る舞っている。ロシアの大ロシア帝国の価値観と欧米の「自由主義」の価値観との闘いであるかのように演出しているが、そのもとでは、1人1人のウクライナ国民の人生はないがしろにされざるを得ない。
プーチンのウクライナ侵略を国際秩序への野蛮な攻撃と破壊、国連憲章や国際人道法蹂躙の侵略行為であるとの一点で国際的な批判と戦争停止への圧力をかけ続けると同時に、事態を歴史的に見据え、私の考える視点を整理し直す必要を痛感する。

雑誌「世界」臨時増刊「ウクライナ侵略戦争ー世界秩序の危機」が、現在どの書店でも店頭から無くなり、ネット上ではプレミア付きで売られているほどだという。
私は、幸いにして定価である書店から今日入手できたので、今日ゆっくり読むことにしよう。

言葉は無力ではない。

***

「県教委の来年度の教員採用 志願者数が採用予定人数下回る」(NHK茨城WEBニュース)という昨日のニュースが、ネット上でも話題に上がっていた。
茨城県教委が来年度900人程度の採用を計画していたが、志願者が4月末現在で約600人。文科省は「教員不足」の実態調査を明らかにしているが、大都市周辺の自治体で深刻で、かなり地域差が見られるとはいえ、何故これほどの不足が生じているのかに迫る調査はない。
「長時間労働」との指摘はあるが、どちらかといえば教師の力量不足に原因がすり替えられることが多く、その実態の多くは隠されている。

教育労働の量と質が未来の社会の力量を左右することは自明のことであるため、「まとも」な社会にしたければ「まとも」な政策を用意すべきだし、政権担当者に都合のよい社会にしたければ、管理統制型の政策を実行する。どちらの能力もないならば、ただ混乱を重ねるだけではないのか。この国の状況を見ていると、政権担当者の都合のよい教育体制を志向しながら、その能力に著しく欠けているために、現場にいたずらに負担と混乱を持ち込んでいるようにしか見えない。

良質の教育を保障するには、第1に、学校現場が水平であること=教職員がお互いに個性を発揮しながらも対等な立場で議論し合い方向を出すことができること=が必要だ。ところが実態は、垂直統治でしかない。教師が成長できるのは、学校現場で切磋琢磨することと、組合などを通して学び会うことを通してなのだ。
第2に、目の前の教育課題に全力投入できる時間的保障=適正な持ち時間数、雑用の排除、勤務時間の厳守=が不可欠だが、そのどれも保障されていない。
しかもこれまでは、10年で免許更新というとんでもないやり方をしながら、それが破綻してもなお、教師の研修を記録するなどという管理を続けたい連中のもとで、時間の確保や良質の教育が保障されるはずも無い。
第3に、低賃金。加えてわずか4%の教職調整額で無制限の超勤が合理化され、長時間労働が野放しにされている。文科省はそれなりに問題意識を持ちつつも、依然として「検討」「見直す」としているだけだ。

このままでは、生徒は学校に魅力を失い、教師もまた働く意欲を無くして、荒廃の一途をたどることになりかねない。
茨城の出来事は、起こるべくして起こった出来事であり、これからの序章に過ぎないだろう。

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