いつもとちょっと話題を変えて、我がふるさと富山のお話。
いつだったか、富山県での統一協会の跋扈が甚だしく、2020年の知事選挙で新田八郎知事候補が統一協会の選挙支援を受けていたことが報道されたことがありました。新田氏は、追及されると今後関係を持たないと述べつつ、「未来永劫お付き合いをしないと宣言することは、政教分離原則の観点から問題がある」などと述べていた記憶もよみがえってきます。
前回2020年の富山県知事選挙は、当時の現職であった石井氏に、新田氏が挑むという保守分裂選挙。この選挙は結構泥沼状態だったようで、石井陣営の選挙準備で県職員が関与したいた疑惑が報じられた一方で、新田側は統一協会の組織的な支援を受けていたという事実も次々と明らかに。統一協会は謀略ビラなどは得意分野ですから、どっちもどっちでしょうかね。
この新田氏、2021年の4月には新型コロナ蔓延下で「5人以上の会食自粛」の警報を自ら発した2日後に、当時の富山市長ら6人と飲食を伴う会食をしたことが発覚し富山県民のひんしゅくを買いました。
このお二人、石井氏と私とは高校の同期だし、新田氏の方は、私が名古屋の高校から富山の高校に移ったその年にその高校に入学したようで、教えたかどうかは記憶にありませんが、何となく名前に聞き覚えがある(後でアルバアムを見たら、確かにいました)。私のような劣等生とは異なって、石井氏は東大から自治省(当時)へ入省、新田氏は一橋大から第1勧銀に入行ですから、とにかくエリート中のエリートということでしょう。家族関係もスゴイ。
当時、富山の「有名進学校」は御三家と言い、進学率でもしのぎを削っていました。私が高校に入学した頃には、すでにピラミッドの体制は完結しており、高校に就職した頃にはさらに洗練されたものになっていました。
その「進学指導」の基準は勿論「偏差値」です。当時は外部テストはあくまで参考程度。自校のテスト成績で詳細な偏差値表を作っており、生徒はそれらをもとに東大、京大、東工大、一橋大・・私学なら早稲田、慶応と「輪切り」の合格目安が決められ、それに従った「進学指導」が行われていたのでした。そうした進学指導の「技術」は、それに携わる教師のステータス・シンボルとして「出世」の指標ともなっていました。
体制がそうなのですから、生徒は当然のように偏差値偏重の学習態度や意識に傾斜せざるをえず、更に、家庭環境や親の収入の過多によってますます「輪切り」体制が固定化されていくことになります。そうではない、「変わった」生徒もそれなりにいましたけれど。
その高校で約15年(途中5年間は組合の専従休職)ほど勤めましたが、その間何人かの同僚とともに教育改革を目指していろいろな運動に取り組み、それなりの成果を上げたと自負しています。先に農業問題でのニュースを紹介しましたが、その著者は改革の中心的役割を果たした尊敬すべき人物です。「進学指導」を中心とする学校運営が夜の料亭での相談で決められていることが多発していた当時、その方の発した一言「この学校は伏魔殿か!」は今でも語り草になっているほど。
知事になっているお二人が、高校から大学、その後の社会生活の中でどのような遍歴を重ねていらっしゃったかは関知するところではありませんけれど、今日の政府を形成している御仁を見るにつけても、この国の教育の様々なゆがみが実に如実に「指導的立場」にある人々に現れていることを、苦い思いをかみしめながら見ているこのごろです。もっとも、私の中にも、同様の「ゆがみ」が結構詰め込まれているのではないかと思いつつ・・・。