7月初めのブログ記事で、池田町の人口減少問題について、データをもとにしていくつかのポイントを記載しました。
池田町の人口減少は20年前から始まっており、この間に抜本的な対応が取られるべき問題だったのです。しかし、行政も議会もこれに対する対応は鈍く、今から数年前にお隣の松川村に倣って移住定住補助金を10万円から100万円に増額。しかし、財政悪化の1つの要因を作り出してしまったことから議会で引き下げが議決され、もとに戻されることになりました。
思いつき的な対策で移住者を増やそうとしても、池田町の人口問題の本質に触れないやり方では効果はありません。
新町長が誕生したことで、行政の姿勢も若干変わり始め、この7月10日からテーマ1で4回、テーマ2で4回の町民ミーティングが開催されることになりました。
私は入院などがあったために、30日の最終回に申し込みをしました。以前にこのブログで示した資料を持ち込んで、意見を述べようといま準備しているところです。
テーマ1は「池田町の人口減少、少子高齢化をどう考えるか」というものです。このテーマ設定自体に、現在の行政の立ち位置が現れていると私には思えます。
すでに行われたミーティングで町から示された資料をもらってきて見ているのですが、現在の池田町の実態を的確にえぐり出すというものにはなっていません。
同じ資料を使うとしても、前もって資料をホームページ等で示し、町の分析と評価をつけて議論を促すのであればまだしも、当日説明し、すぐに分散討論というやり方で一体町民のどのような意見を期待しているのでしょうか。
池田町にとって、いま最も重要なことは、「人口減少の実情を正確に掴むこと」、しかも単に行政だけではなく、町民全体の認識にしていく必要があるということです。それなしに、テーマ2で今後の対策を話し合おうとしても、土台無理な相談でしょう。
私は当日参考として配付する資料に、次のコメントを付けました。資料から何が分かるのかをまとめたものです。
①人口減少は20年前から始まっていた。その後、2005(H17)年から緩やかに減り始め、その10年後2015(H27)年頃から減少幅が大きくなり(年間130人~150人の減少)、現在ではさらに減少が加速しているように見える。
②変化が大きくなる節目は2015(H27)年前後にある。そこから急激な減少が始まっている。
③20代の人口減少はなだらかに進行してきたが、30代の減少が2015(H27)年から激しくなり、池田町の出生者数の減少の大きな要因となっていると思われる。
④2015(H27)年あたりまでは転出より転入が多く、自然減を補っていたため人口減少は比較的緩やかだった。しかし、高齢者の死亡と出生者数の極端な減少とが重なったこと、および転出者の増大も加わって減少幅を大きくした。
⑤ 出生者数の減少の原因は、20代、30代の人口の減少によるものであり、とくに、転出者が転入者のほぼ2倍(令和になってからは2倍を超える)に上る深刻な状況がこの10数年続いている。
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今日の信濃毎日新聞は、お隣の松川村の村づくりについてかなりの紙面を割いて紹介していました。下はその一部です。
ほとんど人口減少を食い止め出生者数も維持している松川村の現在は、単に交通網に恵まれた地の利というだけに留まらず、長年の着実な村づくりの努力の結果なのです。人口の推移がそれを物語っています。
池田町が見倣うとするならば、ここ2,3年でどうすべきかという程度の近視眼的見方ではなく、せめて20年先を見越して、魅力的な町に作り変えていくビジョンを町民全体で練り上げるべきでしょう。財政基盤を充実させ、人口減少期に対応した重点的な予算配分を行い、住民の力を最大限に結集することが必要です。
ここで、政策を誤れば、池田町の人口減少は歯止めがきかなくなってしまうでしょう。新たな町政が始まった今なら「引き戻し可能」な地点にある、そのような厳しい認識が求められると私は思います。