昨日から、私の体内時計が狂ってきたのか、今日が30日だとばかり思い込んでいて、自分でもびっくり。毎日が単調に過ぎていくと、時間の経過が分からなくなってしまうのか。夜寝るときにも、昨日も同じように布団に入り、同じように過ごしていたなあと思うことが重なっている。
29日だから、1日得したと思えばいいか・・・。
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私は集落の一つの班の班長をしており、主な仕事になっているのが町などから依頼される配布物の配達です。今日が今年最後の配布で、広報などを一軒一軒回って配ってきました。
その中に、「町内の農業者の皆さまへ」と題する一枚の宣伝物が含まれており、「新たに設立する農業法人に出資をお願いします」と書かれていました。
文書表 町内の農業者の皆様へ 農業法人への出資をお願いします
文書裏 農業法人設立趣意書
一昨日「地方政治の基本的なあり方をしっかり押さえて、スジを通す」ことが大事だと、内容には触れませんでしたが、実は、この「新たに設立する農業法人」の問題が保育園に続いて町の大きな問題になっているのです。
私自身は「農業者」ではありませんから、直接この文書に書かれている対象者にはなりませんが、設立しようとしている農業法人の中心的な出資者が町になるわけで、公的な資金を投入するとなれば、農業者だけの問題ではなくなります。当然ながら町の方針について議会での審議と議決が必要になります。
普通なら、この文書を見る限り、「ああ、町で出資者を募っているか」程度に終わるのが関の山。しかし、これまでの経過を踏まえてみれば、事はそんなに単純な問題ではないのです。
この事業や農業法人設立の手続きを住民にきちんと説明してきたのか、池田町の農業者の皆さんの多数からこの事業への賛同を得て進められているのか、議会でも十分な議論が行われてきたのか。果たして、町がほとんど全責任を負う形で参加して、実効性のある対策が講じられるのか。こうした問題が否応なしに突き付けられているのです。
この文書は、町長の諮問機関「池田町農業振興協議会」が12月4日に提出した「池田町の農業振興について 最終答申」に基づくもので、2月に新法人を立ち上げるとして、にわかに農業者への出資を呼びかけたということのようです。
その設立趣意書は池田町町長名で書かれ、設立呼びかけ人には、町長のほか、議員1名、協議会の会長を務めた県議が名を連ねています。
池田町のホームページを見ると、12月4日に最終答申が出されたあと、26日になってようやくサイトに掲載、
農業法人への出資のよびかけが今日29日に配布される状況になったのですから、これを受け取った農業者の皆さんもビックリでしょう。
私自身は、答申の内容について様々な問題を感じてはいますが、いまは主として農業者の皆さんに議論してもらえばいいことですから、ここでは触れません。
私がここで問題にするのは、町が出資者となり職員を1名その法人に張り付けて事業展開を行おうとしているこの事業計画が、正常な手続きを踏んでいるのかということです。
(1)農業振興協議会の答申は、協議会から町長に提出されたものであって、その中に含まれる「新農業法人設立」は、町の方針としては示されていない。
町が、どれほどその答申に書かれている方針に賛同しようが、まず町として、答申内容をどのように実行するのが最もふさわしいのか、または実行できないのかを主体的に判断することが必要です。当然、実務にあたる町振興課が町長の指示を受けて協議して原案をまとめ、最終的に課長会議等を経て「町の方針」を立案することが必要です。
通常の行政運営においては、当然それだけの職員が関わっていくわけですから、出向させる職員をどう選ぶのかや必要経費にかかわる予算措置をどうするのかの計画が不可欠となります。
しかし、農業法人を2月に設立すると期限を区切っているために、いま進められているのは、その手続きをすべて省略したとしか思えない乱暴なやり方です。こんなことは、自治体行政としてはあってはならないことです。
これについて、町長は「すでに中間答申でもこの点は触れられており、その段階から農業法人設立は町として認めており、その方向で準備を進めてきた」とおっしゃるかもしれません。そのような意向を持っていたことは私も知っていますし、そのことをいま問題にするつもりはありません。問題はそこにあるのではないのですから。
毎回の協議会に町長が出席(諮問機関に町長が毎回出席するのは異例中の異例)し、まるで協議会の一員であるかのように会長から方向性への賛同を求められて同意を与えてきた事実があります。この点は議事録をご覧になれば分かることです。
仮にそうだとしても、それはあくまでその時点での町長個人の見解であって、行政としての方針を確立した訳では全くありません。もし、協議会での同意をもって法人設立にお墨付きを与えたというのであれば、行政運営に当たる長としては失格でしょう。たとえ、協議会で自身が賛成の意向を表明したとしても、それだけに過ぎず、行政としての方針はあくまで最終答申を受けてから主体的かつ具体的に立案されるべきものだからです。こんなことは素人でも分かる行政のイロハでしょう。行革委員会の答申については何とも軽く扱われているようで、ついには「町がやると決めたことはやる」という程度になっているのとは余りにも対照的です。
(2)議会に対して、「町の方針」が説明されず、この文書配布も事前に告知されていない。
この点は、議会軽視の極致とでもいうべきやり方です。
答申が出されたあと、協議会会長から議会に対して説明は行われています。それはこのような答申を出したという説明であって、町長がそれを受けての説明をしたわけではありません。
法人設立には当然町の出費を予定しているわけですから、町としてどれくらいの規模を予定しているのか、その出資以外に様々な「支援」(最終答申書26ページ)が求められているわけですから、出資以外の投資的経費もありうることになるでしょう。
だとすれば、概要でもよいから、筋道の分かる町の方針書がつくられ、議会と町民に対して、町はこのように考えているという説明をすべきです。
議員は、提示された町の方針について議論を行うのであって、答申署の実行を議論する訳ではありません。
この手続きがありません。これでは議会軽視にとどまらず、議会制民主主義の原理原則を踏みにじった町長の暴走としか言いようがありません。
議会で、この点をチェックできないのであれば、池田町議会はもはや議会としての機能を停止しているとみなされるでしょう。
繰り返しますが、私はここでは答申の内容を問題にしているわけでもないし、法人化の可否を論じているわけでもありません。あくまで、予算措置を伴う町の事業の進め方、手続きを問題にしているだけです。
上に述べたような実態が常態化するならば、池田町の行政運営は音を立てて崩れ、様々な分野に深刻な影響を与えることになるでしょう。農業者、町民の皆さんの中で、内容も含めて活発な議論が行われることを期待します。
<参考 大糸タイムスの記事>
大糸タイムス 12月5日 農審協答申
大糸タイムス 12月23日 サンデーリポート